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選手たちの熱き戦いからノーサイドの精神を学ぶ ラグビー観戦講座
選手たちの熱き戦いからノーサイドの精神を学ぶ ラグビー観戦講座


 ラグビーというと、激しいタックルやボールの壮絶な奪い合いといった怖いイメージが先行しがち。ですが、実際に観戦してみると、厳しいルールの中、心身を鍛え上げ、仲間との信頼関係を構築していく精神性の高いスポーツであることに気づかされます。チームを引退しても後輩の試合の手伝いにボランティアで駆けつけたり、80代以上の現役プレイヤーがいたり、人々を生涯にわたって魅了し続けるのは、ラグビー独特の精神が背景にあります。
 そんなラグビーならではの魅力を多くの方に知ってもらおうと、ラグビー観戦講座が2008年1月14日、近鉄花園ラグビー場にて開かれました。ラグビーの面白さや観戦のポイントを学ぶ講座と場内見学の後、トップリーグの試合を生で観戦するというプログラム構成で、当日は親子連れやカップルなど25名の参加者が集まりました。

講義で学ぶ ラグビーの魅力とは

 9時45分からスタートした観戦講座は、ラグビーの魅力を学ぶ講義から始まりました。今回、講師として招かれたのは、関西ラグビーフットボール協会でレフリー委員長を務める太田始さん。太田さんは、高校からラグビーを始め、引退後は大阪の高等学校で体育の教鞭をとりながら、日本フットボール協会公認レフリーの資格を取得。現在は、委員長の立場でレフリー育成にも力を注いでおり、40年以上もラグビー界で活躍されています。
 講義では、ラグビーがイングランド発祥であり、パブリックスクールと呼ばれる中高一貫の名門私立校が、規律や節度を学ぶ上でラグビーを盛んに行うようになったことや、ラグビーのルール整備が行われた際、モデルとなったパブリックスクールの校名がラグビーという名前の由来となっていることなど、歴史について学びました。

 さらに、太田さんはそういった歴史背景から、ラグビーがジェントルマン精神のもとに成り立つスポーツであることを説明してくれました。一度試合日を決めると雨でも雪でも試合が行われる「約束を守る精神」、不当に有利な立場を利用して、勝利することを拒否する「フェアプレイの精神」、勝敗にこだわらず同点の場合でも延長戦をしない「ノーサイド(=敵味方なし)の精神」といった点が、当てはまります。
 もう一つ、ラグビーを語る上で大切なのは、「信頼関係」です。ラグビーではルールのことを「ロー(法律)」と言いますが、厳格なローが取り決められているわけではありません。たとえば、「ボールを持っているプレイヤーがタックルをされたら、ただちにボールを放しなさい」というロー。「ただちに」というのが、何秒と正確に決まっているわけではないのです。つまり、プレイヤーとレフリーの信頼関係がなければ、試合が成り立たないということですね。参加者の方々も、太田さんが語るラグビー独特の魅力について、熱心に耳を傾けていました。

場内見学 いざメイングラウンドへ!

 講義の後は、場内見学です。近鉄花園ラグビー場は昭和4年、日本最初のラグビー専用グラウンドとして開場して以来、東京の秩父宮ラグビー場と並び、ラグビーの聖地として君臨してきました。年末には、全国高校ラグビー選手権が行なわれることから、ラグビーの甲子園とも呼ばれています。
 シャワールームやロッカールームなどが設置された、普段は関係者以外立ち入り禁止の内部を見学した後、一堂はメイングラウンドへと足を踏み入れました。天然芝が太陽の光を受けきらきらと光り、ふかふかの感触が足元から伝わります。観客席から眺める風景とは全く違い、3万人の観客がスタジアムを埋め尽くすことを想像すると、今にも大歓声や拍手が聞こえてきそうです。

 場内には、ラグビー資料室も併設されています。「All for One One for All」という、ラグビーで象徴的に使われるスローガンを掲げたパネルに促され、中に入ると、近鉄花園ラグビー場の歴史やワールドカップ、選手権の様子などが写真を交えて展示されています。
 全国高校ラグビー選手権で40回大会から74回会大会まで使用された大優勝旗、かつてのユニフォームなどが実物展示されているのも貴重です。特に、2006年5月14日、このラグビー場で行われた日本代表対グルジア代表の試合において、大畑大介選手が通算トライ数を65とし、世界記録を樹立した際の記念ボールも見逃せません。

トップリーグ観戦  熱戦の後はノーサイドの握手

 午後からは、いよいよトップリーグの観戦です。社会人リーグとして2003年に発足したトップリーグは、国内最高峰のレベルの選手たちによる戦いが繰り広げられる注目のリーグです。毎年9月から翌年3月まで実施され、社会人14チームが参加し、総当りでリーグ戦を行った後、上位4チームがプレーオフトーナメントの出場権を獲得し、トーナメント式で優勝チームが決まります。 
 この日行なわれたのは、クボタスピアーズ対福岡サニックスブルースと、三洋電機ワイルドナイツ対九州電力キューデンヴォルテクスの2試合。目の前で展開するタックルの激しさや、瞬時に奪い合われるボールの行く先に、思わず目が釘づけになります。

 第1試合では、前半17対6で折り返し、優勢かと思われたクボタスピアーズでしたが、後半になると、福岡サニックスブルースの猛追が始まります。相手の一瞬の隙を狙い、トライを連続で決めた福岡サニックスブルースが、結果 33対17 と、華麗な逆転劇を見せてくれました。
 ノーサイドを迎えると、選手たちが観客のいるスタンドの近くに集まり一礼。スタンドからは温かい拍手が送られました。そして、最後に交わされるのが、選手同士の握手です。試合を戦い抜いたお互いを讃えるための握手は、観客にまでそのすがすがしい気分が伝わってきました。
 観戦講座で学んだことは、ラグビーがフェアプレイの精神で貫かれており、それを感じるのがまた醍醐味であるということです。次回は自分で、ラグビー場へと足を運んでみたいものですね。