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第2回「成長期に起こる怪我とその予防」

○成長期に頻発する「成長痛」

心身共に急激に成長する時期によく見られる障害(怪我)があります。「成長痛」と呼ばれるそれらの障害は、子どもの競技能力向上に影響するだけでなく、成長を阻害してしまう恐れがあります。競技特性によるものから種目を問わずに発症するものまで、様々な障害があるので私たち指導者や保護者は成長痛についての正しい知識を身につける必要があります。これ位なら大丈夫と勝手な判断はせず、まずは病院での診断を仰ぐよう心がけてください。

○成長痛の原因

成長期の身体の特徴として骨の成長するスピードの早さが挙げられます。この時期は身体の成長が著しく、身体の骨格形成の為に骨は急激に伸びます。それに対して関節を跨いで骨に付着する筋肉(腱)は、骨の成長に伴って引き延ばされる様にストレスを受けます。この時、筋肉の柔軟性が乏しく骨の伸びに追いつかなければ、筋肉が骨の成長を阻害したりストレスをかける原因となり骨端の炎症や筋肉の付着部の炎症に繋がってきます。上記の成長痛の原因を内因性と呼び、それ以外の原因に外因性のストレスも成長痛を助長します。成長期に行うスポーツは、適度な運動負荷であれば骨や関節の成長に好影響を与えます。しかし、運動の回数や負荷、スピードなどにおいて生理的な許容範囲を超えてしまうと筋肉や腱、その付着部や骨、関節へとストレスをかける為、筋肉の柔軟性低下につながります。筋肉が硬くなれば更にストレスを受けやすくなる、許容範囲も狭くなるといった悪循環に陥り、結果として様々な成長痛を発症してしまいます。すなわち、成長痛を予防するには過度の繰り返されるストレスを与えない事と、筋肉の柔軟性を高めることが重要です。また、早期治療が重要ですので、お子様が痛みを訴えたり成長痛が疑われる場合は、病院での診断を受けましょう。

○主な成長痛

特に代表的な障害としては下記の障害が挙げられます。

・オスグッド=シュラッター病・・・走る動作や跳ぶ動作が多い種目によくみられます。膝のお皿の下3cm程の所(脛骨粗面)に押した時や運動時の痛みが生じます。押さなければ痛くないものから歩くだけで痛い場合まで、症状は重症度によって変わります。酷い場合は正座をするのも困難です。

・セバー病(踵骨骨端症)・・・オスグッド病と同じく、走る動作や飛ぶ動作が多い種目によくみられます。走ったりジャンプすることにより、アキレス腱の強い牽引力が繰り返し加わることで生じます。

・リトルリーグ肘(野球肘内側型)・・・障害名の通り、少年野球(特にピッチャー)に多くみられます。投球動作では肘の内側に物理的なストレスが加わる為、投球動作の繰り返しにより肘の内側に疲労が蓄積されて起こります。重度では外側にも痛みが出る場合があり,特に成長期は骨が未熟な為、骨変形を生じる事があるので、病院に受診し、慎重に治療をする必要があります。

○成長痛予防の為の静的ストレッチ

前回は代表的な筋肉のストレッチを紹介しました。今回は上記に紹介した成長期における障害を予防する為のストレッチをご紹介致します。障害別に挙げていますが、できれば全ての種目を行うようにしてください。

※静的ストレッチを行う際の注意点

  1. 息を止めない・・息を止めると自然と力が入ってしまいます。リラックスして、ゆっくりとした呼吸を意識してください。
  2. 反動をつけない・・反動をつけた方法もありますが、柔軟性を高める目的には適さないので、ゆっくりと行ってください。
  3. 我慢しない・・筋肉は過剰に伸ばすと反射的に縮もうとする働きがあります。痛いのを我慢せず、気持ちいい範囲で行ってください。
  4. 時間をかける・・紹介するストレッチは全ての種目において20〜30秒行ってください。


■オスグッド=シュラッター病

大腿の骨の成長に大腿四頭筋の柔軟性が追いつかずに付着部である脛の骨にストレスをかけることで起こります。そのため、大腿四頭筋を中心に股関節周りのストレッチが重要となります。(痛みが強い場合は行わないで下さい。)

○大腿四頭筋(太ももの前側)

  1. 両足を伸ばして座り、伸ばしたい方の脚を正座するように曲げます。
  2. 手を後ろについて、身体をゆっくり後ろに倒していきます。
  3. 曲げた脚の筋肉が痛くない程度の位置を保ち、ゆっくり呼吸をします。

○大腿四頭筋

  1. うつ伏せに寝ます。
  2. 伸ばしたい方の膝を曲げ、足首にタオルやバンドをかけます。
  3. 両手で引っ張り、膝がしっかり曲がるようにします。
  4. 引く向きを変えることで太ももの内側や外側を重点的に伸ばすことができるのでより効果的です。

○内転筋群(太ももの内側)

  1. 両足を無理のない範囲で左右に広げます。
  2. 息を吐きながらおへそを床に近づける様に前へ倒します。
  3. 痛くならないところで止め、ゆっくりと呼吸をします。

○腸腰筋(脚の付け根の前側の筋肉)

  1. 前後に大きく脚を開きます。
  2. 前側の膝を曲げて体重を前へかけます。
  3. 後側の手を挙げ、反対側にゆっくりと倒します。
    ※前側の膝が内に曲がらない様に気をつけてください。


■リトルリーグ肘

投球動作を繰り返すことで肘にストレスが加わり発症します。肘にストレスをかけないためには、スムーズな肩の動きと投球動作で主に働く筋肉の柔軟性を高めること、疲労を蓄積させないことが重要です。(痛みが強い場合は行わないで下さい。)

○前腕屈筋群(肘の内側)

  1. 伸ばしたい腕を前に出します。
  2. 掌を前にし、指を下に向けます。
  3. 逆の手で親指以外の指を手前に引きます。
  4. 人差し指と中指、薬指と小指の2本ずつ行うと更に効果的です。

○三角筋(肩の筋肉)

  1. 伸ばす側の腕を反対へ出します。
  2. 逆の手で肘を持ち、手前へ引っ張ります。
  3. 身体が捻れない様に気をつけてゆっくりと伸ばしましょう。

○上腕三頭筋(二の腕の筋肉)

  1. 伸ばす側の腕を上へ挙げます。
  2. そのまま背中側へ肘を曲げます。
  3. 反対側の手で上から肘を持ち、ゆっくりと引っ張ります。
  4. そのままでも伸びますが、引っ張る方へ身体を倒すと、背中も伸びます。

○広背筋(体側の筋肉)

  1. 伸ばしたい側に体重をかけます。
  2. 反対の手で手を握り、伸びる方向へひっぱります。
  3. 真横だけでなく、少し前方にも身体を捻ります。

○上腕三頭筋2

  1. 立ったまま、両手でタオルやバンドを持ちます。
  2. 写真の様に手を後ろに回して、下の手で下の方へ引きます。
  3. 上の手は握るだけで肩や腕には力を入れないでください。
  4. あまり無理に引っ張らないように注意しましょう。

○広背筋2

  1. 立った状態で両手でタオルかバンドを握り、バンザイします。
  2. 伸ばしたい方に体重をかけ、足の親指の付け根(母指球)で立ち、反対側にゆっくりと身体を倒していきます。
  3. 円を描く様に、前側にも少しずつ倒していくことで、より広い範囲で広背筋を伸ばすことができます。


■セバー病

脛の骨が急激に成長するのに対して下腿三頭筋が追いつかなかったり、過度な運動でアキレス腱や下腿三頭筋の柔軟性が低下することで、付着部である踵を引っ張ってしまい起きます。予防には下腿三頭筋をはじめ、脚後面の柔軟性が重要となります。ジャンプ動作や走る動作が多い種目の場合には脚全体の柔軟性のバランスが大切ですので、全体的に柔軟性を高めるように心がけましょう。(痛みが強い場合は行わないで下さい。)

○下腿三頭筋(ふくらはぎ)

  1. 床に手と脚をつきます。
  2. お尻を突き上げる様に身体を曲げ、手と脚の距離を近づけます。
  3. 伸ばしたい方の脚に、反対の脚に乗せます。
  4. 踵を床につけ、体重をかけます。

○ハムストリングス(太ももの裏側)

  1. 伸ばしたい方の足を伸ばします。
  2. 反対の足は曲げます。
  3. 息を吐きながらゆっくりと両手をつま先の方へ伸ばします。
  4. 痛くならないところで止め、ゆっくりと呼吸をします。

○下腿三頭筋2

  1. 立った状態で、伸ばしたい方の脚を少し前に出します。
  2. 出した足のつま先にタオルをかけ膝を伸ばしたまま両手で上に引き上げます。
  3. 膝を曲げた状態で行うと、ヒラメ筋と言う深部の筋肉を伸ばすことができます。

○大腿四頭筋(太ももの前側)

  1. 両足を伸ばして座り、伸ばしたい方の脚を正座するように曲げます。
  2. 手を後ろについて、身体をゆっくり後ろに倒していきます。
  3. 曲げた脚の筋肉が痛くない程度の位置を保ち、ゆっくり呼吸をします。