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「アーチェリーをどれだけ好きか。それが一番大切」守屋龍一選手(ミキハウス/アーチェリー)
「アーチェリーをどれだけ好きか。それが一番大切」守屋龍一選手(ミキハウス/アーチェリー)


守屋龍一(アーチェリー)
1985年2月28日生まれ。岸和田市出身。岸和田市立産業高校でアーチェリーを始め、近畿大学を経て、2007年ミキハウス入社。2005年にスペインで開催された世界選手権で銀メダルに輝き、2006年ワールドカップトルコ大会では団体優勝。同年のドーハで行われたアジア大会にも出場した。

 的の中心だけをめがけて矢を放ち続ける、アーチェリー。五輪では、70mも離れた場所から直径122cmの的を狙い、参加64選手が1対1のトーナメント戦でメダルを争う。トップレベルの選手は中心の黄色のエリアから矢を外すことはほとんどない。前回のアテネ五輪では、山本博選手が銀メダルに輝き、「中年の星」として話題になった。さらに1ランク上のメダルを目指して、今回、北京五輪に挑むのが、守屋龍一選手だ。

アーチェリーとの出会いは偶然に

―守屋選手は岸和田市立産業高校でアーチェリーを始められたそうですが、きっかけを教えてください。

守屋 中学では野球をやっていたので、高校でも野球部に入部しようと思っていたんです。けれども商業科だったので両親から「簿記の資格を取るなら、練習時間の長い野球部はだめ」と反対されまして。たまたま父の知人に和弓をされている方がいて、道具を譲ってもらえるからと勧められ、見学に行ったんですよ。でも女の子しかいなくて…。その隣でアーチェリー部が活動していて、「同じ弓やから大丈夫やろ」と思って入部したのがきっかけです。

―アーチェリーにしろ和弓にしろ、まったくの未経験だったのですよね。

守屋 全然、知らなかったですね。今は的から70m離れた場所で弓を引きますけど、体験入部時には10m離れたら的に当たるかどうかという感じでした。それなのに先輩たちが勧誘するためにべた褒めするんです。僕は調子に乗るほうなので「ま、いいか」と(笑)。実際に始めてみると弓を引くというのは特殊な動きなので、最初は精一杯。今の弓の半分くらいの重さで「しんどい」と言ってました。

―いつ頃からアーチェリーをやっていこうと思われたのですか?

守屋 やっぱり当たると楽しくなるじゃないですか。一生懸命練習して、こうやりたい思ったことができるようになってくるとね。試合に勝つためにやるというより、楽しいから続けていました。でも2、3年ではできることに限界がある。もっと上手くなりたいと思って、近畿大学に進学しました。

常に1番であることを目指した学生時代

―近畿大学はアーチェリーの名門です。同期に北京五輪にともに出場される古川高晴選手(近畿大職員)がいますが、意識することはありましたか?

守屋 学生時代は、試合で1番になるというよりは部で1番になることを常に考えていました。試合は一発ものだけれど、練習のときに常に1番だったら本当に上手い人だと思う。古川選手だけではなくて、他の選手にも常に勝てるようにと思っていましたね。

―卒業後、社会人になってから何か変わりましたか。

守屋 社会人なってからは、体に気をつけるようになりました。学生の時はあまり激しいスポーツではないので、結構適当だったんですよね。今は整骨院などに通ってケアをするようになりました。トレーニングも今まではシーズン中にはやらなかったのですが、シーズン後半になるといつもバテるので、オフだけではなくシーズン中もトレーニングをするようにしています。ミキハウスに入社しましたが、練習環境は変わっていません。高校のアーチェリー部の先生に大学時代も時折、練習を見ていただいていたのですが、今も週1回から月2回、岸和田へ帰って指導を受けています。最近は、高校生の時とは違って、言いたいことを言えよという感じで先生が自分を社会人として認めてくれるのでうれしいですね。

頑張る選手の姿を見て欲しい

―アーチェリーはどれだけ集中できるか、精神力が鍵になるスポーツだと思います。矢を放つ時は何か考えられているんですか?

守屋 何も考えていませんね。集中とか、競技に対する熱意、闘争心や勝利欲とか言いますけど、自分の中では集中というより「のめり込んでいく」という表現がしっくりきます。アーチェリーにのめり込むことで一生懸命頑張るし、負けたくないと思う。ずっとそうしてやってきましたから。

―では、アーチェリーで一番大切なことは何だと思いますか?

守屋 どの競技でも同じだと思いますが、「どれだけ好きか」じゃないですかね。アーチェリーが自分にとってどれだけ大切かということ。当たり前ですけど。

―最後に北京五輪への意気込みと読者へのメッセージをお願いします。

守屋 メダルは獲りたいです。五輪に出ることは特別意識していない。他の大会と同じ気持ちで臨みたいと思います。自分やアーチェリーを見て欲しいので、選手一人ひとりが北京五輪に出場するまで、どれだけの練習してきたかを見て欲しいですね。プロ選手もいますが、会社で働きながら頑張る選手もいます。その姿を見て楽しんでください。

 アーチェリーは相手選手というよりも自分との闘いが勝負を決める。一番大切なことはという問いに守屋選手は「どれだけ好きか」と答えた。好きだからこそのめり込める。のめり込むからこそ一生懸命努力する。そこに結果がついてくるのだろう。「成績を残すことが使命」という守屋選手。8月、私たちの目に一生懸命頑張る姿、そしてメダルを手にした姿を見せてくれることだろう。

(2008年6月4日近畿大学生駒総合グラウンドにて)