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ラグビーW杯 日本代表

 ラグビー・ワールドカップを観に、ウェールズのカーディフ、それからフランスのボルドーに行ってきた。もちろん、日本代表の試合を観るためである。

 日本代表のハイライトは、9月25日にボルドーで行われたカナダ戦だった。5対12で試合はインジュリー・タイムへ。絶体絶命のピンチから日本は粘って粘ってボールをつなぎ、平浩二選手(サントリー)が右隅に飛び込んでトライ。得点を10対12とする。

 同点に追いつけるかどうかは、大西将太郎選手(ヤマハ)のキックにかかっていたのだが、大西はこのむずかしい位置からのキックを決め、日本が12対12と追いついたところで、ノーサイドの笛が鳴った。

 アスリートとは不思議なもので、傍から見ていたら絶対にビビッてどうしよいうもない場面で、意外にも冷静だったりする。

 このときの大西選手もそうで、むずかしいキックだったにもかかわらず、

「絶対に入ると思ってました」

というから選手という人間は分からないものである。

 選手という存在は、極限状態で精神を集中すると、一般の人間には想像もつかない域に到達できる。ちょっとうらやましい気もする。

 カナダ戦を終えて、日本は観客の声援にこたえるためにグラウンドを2周ほどした。日本代表は試合の終盤に猛烈な攻撃を見せたことで、ボルドーのファンから、

「ジャポン! ジャポン!」

と熱狂的な声援を受けることができたし、劇的な展開で同点に追いついたので、大きな拍手を受けていた。

 実際、選手たちも試合直後の興奮からだろう、満足げな表情が伝わってきた。

 ただひとり、「俺は満足してねえ」という表情の選手がいた。小野澤宏時選手(サントリー)である。

 自分の気持ちに何か折り合いがつかないといった感じで、悔しそうにグラウンドを歩いている姿が印象的だった。

 小野澤選手の周りだけ違う空気が支配していて、それはちょっと忘れられないシーンだった。

 きっと彼にとっては納得のいかない大会だったのだろう。

 団体競技が面白いのは、同じ試合、同じ大会を戦っても選手によってまったく反応が違うことである。

 今回、日本代表はカナダと引き分けることで、1995年からつづいていた連敗にストップがかかった。

 しかし勝利は得ていない。また、これは4年後への宿題になったわけだ。小野澤選手の悔しげな表情が次につながることを祈る。