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ゲートボール -Gate Ball-

文・渡辺功

写真提供/(財)日本ゲートボール連合発行機関誌「ナイスパル」

 北海道の中央に広がる十勝平野。中核都市である帯広市に隣接する芽室町の、とある‘空き地’で生まれたスポーツがある。
 それが「ゲートボール」。戦後間もない1947年(昭和22年)、芽室町でパンの行商を営んでいた鈴木和伸(旧名、栄治)さんが、フランス生まれのスポーツ「クロッケー」をヒントに、ビリヤードとゴルフの要素を取り入れて考案した。
早朝のテレビ番組でも、お馴染みだった「ゲートボール」。お年寄りがするスポーツのイメージが強いかもしれないが、じつは若年層への普及が進むだけでなく、アジアを軸に世界規模で競技人口が増えている。少し固定観念を外して、日本発世界行のスポーツ「ゲートボール」の‘いま’を見ていこう。

●概要●

 人気に火が付いたのは78年ごろ。九州から‘ゲートボールブーム’が起こり、全国で愛好者やゲートボール場が爆発的に増えた。だが、最盛期の80年代後半に約600万人いた競技人口は、趣味やレジャーが多様化した影響もあって、現在では1/3の約190万人に減っている。
 ところが反比例するように、中国、韓国、フィリピンといったアジア各国。さらにブラジル、アルゼンチン、ペルー、パラグアイなどの南米諸国や、ヨーロッパ、中東まで、現在世界34の国と地域で、ゲートボールは行われている。各国の日系人社会での流行が、現地社会で輪を広げているのだ。なかでも中国では‘門球’の名で呼ばれ、愛好者は500万人以上に達しているそうだ。
 また、ジュニアの大会や、必ず15歳未満の選手を含めてチームを構成する世代交流大会が開催されるなど、若年層への普及が進められ、ゲートボール部や同好会のある高校が全国で20校近くにのぼっている。

●歴史●

 鈴木和伸さんは1918年、秋田県生まれ。生後間もなくサハリンに移住、第2次世界大戦中は陸軍に所属し、札幌で終戦を迎えた。47年、芽室町に移住。戦後の混乱のなか、こどもたちの手頃な遊びがないかと思った鈴木さんは、進駐軍のやっていた「クロッケー」をヒントに、近所の空き地で自ら球を打ちながら、ゲートボールを考案した。
 その後、旭川、札幌、東京と移り住む先々で普及活動を行うが、あまり反応はなく、53年に設立した日本ゲートボール協会も、いつしか休眠状態になっていた。
 風向きが変わったのは、東京五輪の後。65年に文部省(当時)が「国民皆スポーツ」を提唱したことを受け、ゲートボールに注目が集まった。鈴木さんがこども向けに考えた、手軽で体力的な負担も少ないゲートボールの特性が、「高齢者でも楽しめる」と見直されたのだ。
 いち早く教育委員会がゲートボールを推奨。70年に協会が設立された熊本から人気に火がつき、各地に相次いで競技団体が設立された。ところが、乱立した団体が、それぞれ微妙に異なるルールを用いたことから、トラブルが続出。愛好者からは、統一ルールの制定と各団体を統括する組織を求める声が高まり、84年に(財)日本ゲートボール連合が発足することになる。
 ルールの統一を受け、85年に第1回全日本ゲートボール選手権大会(文部大臣杯)が開催される。またこの年、日本を含めた5つの国とひとつの地域から構成される世界ゲートボール連合も設立され、翌86年には、初の世界ゲートボール大会が、札幌で行われた。
 生みの親である鈴木さんは、83年に65才で亡くなっていた。84年11月、芽室町に屋内ゲートボール場を設置した健康プラザが完成したのを機に、寿美夫人が芽室町長に手紙を送ったことから、鈴木さんの業績が判明。現在、健康プラザには、手作りの木製スティックなど数多くの資料とともに、鈴木さんの胸像が飾られている。

●ルール●

 スティックで打ったボールを、左回りに設置された第1〜第3までの3つのゲートを順番に通過させて、最後にコート中央のポールにぶつけて点数を競う。ゲートを通過するごとに1得点。ゴールのポールに当てると、2点が入る。試合時間は30分。コートの大きさは、縦15〜20m×横20〜25m。5人1組のチーム対抗戦で行う。
1番〜10番の番号の付いた10個のボールのうち、先攻チームが奇数の赤ボール5個を、後攻チームは偶数の白ボール5個を、それぞれ使用する。ボールの番号は打順を表し、同じ選手が自分の番号のボールを打ち続ける。
コートの手前に設けられたスタートエリアから、番号の順にボールを打つ。1番ゲートの通過に成功すれば、引き続きボールを打つことができ、2番ゲートを狙うことができる。ボールがゲートを通らなかったり、通過後にボールがコートの外へ出たりしたら、失敗。次の番号の選手に打順が移る。
 勝敗を左右するのは、自分のボールをほかのボールにぶつける「タッチ」。タッチに成功すると、「スパーク打撃」を行うことができる。スパーク打撃とは、足で踏んで固定した自分のボールを打つ衝撃で、接触させたほかのボールを弾き飛ばすプレーのこと。ゲート通過の難しい場所に、相手ボールを動かすことができるうえ、スパーク打撃に成功すると、継続してもう一打することができる。タッチを駆使して、いかに自分たちの有利な状況にボールを配置できるか。トップレベルになると、20手、30手先まで想定して、プレーするほど。「コート上の詰め将棋」とも言える頭脳戦が、ゲートボールの醍醐味だ。

●競技団体●

(財)日本ゲートボール連合
〒105−0001
東京都港区虎ノ門1丁目15−16
TEL:03−3580−9397
FAX:03−3592−1427
公式サイト
http://www.gateball.or.jp/jguweb/top/file/top.html

大阪ゲートボール連盟
〒550−0004
大阪府大阪市西区靱本町2丁目1−4
大阪スポーツマンクラブ内
TEL:06−6448−3475
FAX:06−6448−3975
公式サイト
http://www.o-gateball.jp/

●大会スケジュール●

第5回アジアゲートボール選手権大会
08年5月23〜25日
チャイニーズ・タイペイ

笹川良一杯第23回全国選抜ゲートボール大会
08年6月7日(土)、8日(日)
北海道北見市留辺蘂町旭運動公園

内閣総理大臣杯第25回全日本世代交流ゲートボール大会
第13回全国ジュニアゲートボール大会
08年7月20日(日)、21日(祝)
埼玉県熊谷市熊谷スポーツ文化公園彩の国くまがやドーム

第10回全国社会人ゲートボール大会
08年9月13日(土)、14日(日)
愛知県名古屋市瑞穂運動場北陸上競技場

文部科学大臣杯第24回全日本ゲートボール選手権大会
08年10月4日(土)、5日(日)
佐賀県総合運動場陸上競技場・球技場北

大阪レディース大会
08年6月28、29日
廣子圓球技場

大阪府民体育大会ゲートボール大会
08年9月26日(金)
長居球技場

府民スポレク ゲートボール大会
08年12月3日(水)
長居球技場

※参考文献
スポーツ報知(06年8月3〜24日付)