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ホッケー -Hockey-

文・渡辺功

 2008年は五輪イヤー。野球の‘星野ジャパン’をはじめ、柔道やレスリング、競泳陣などの日本選手に、メダルの期待が寄せられている。前回のアテネ大会まで、日本が夏の五輪で獲得したメダルは、金銀銅合わせて通算335個。1920年アントワープ大会のテニスで銀メダルを獲得した熊谷一弥選手が、日本人メダリスト第一号であることは、よく知られている。では、団体競技の日本初メダルは、いったい何の競技だったのか。いまひとつピンと来ないかもしれない。サッカーのメキシコ五輪銅メダルでも、バレーボールの「東洋の魔女」でもなく、団体競技で日本に初のメダルをもたらしたのは、じつはホッケーだ。1932年のロサンゼルス五輪で、日本の男子ホッケーチームが、銀メダルに輝いている。(ただし、この大会で男子ホッケーに出場したのは、日本、アメリカ、インドの3か国だけだった。)
 日本のホッケーには、野球やサッカーといった人気スポーツと変わらない、明治時代以来の長い歴史がある。だが、アテネ五輪に初出場した女子代表の資金難が話題になったように、世間の関心はあまり高くない。しかしながら、「さくらジャパン」の愛称がついた女子代表は、すでに北京五輪の切符を掴んだ。男子代表も40年ぶりの五輪出場を賭けて、08年4月に日本で行われる最終予選にのぞむことになっている。五輪イヤーの今だからこそ、日本の五輪史上に確かな足跡を残す「ホッケー」の姿を、多くの人に知って欲しい。

●概要●

 イメージは「スティックを持って行うサッカー」。ゴールキーパー以外は手を使えず、長さ約90cmのスティックでボールをコントロールする。ボールは野球の硬球ほどの大きさ。表面が硬化プラスティックで覆われ、硬球よりも硬い。シュートのスピードは時速約160km。世界トップクラスになると200kmを超える。試合展開が速く、一瞬で攻守が入れ替わるため、2人の主審で判定する。
 現在国際ホッケー連盟には、5大陸119ヶ国が加盟。最新(07年10月時点)の世界ランキングでは、男子の1位がドイツ。2位オーストラリアで、3位はスペイン。女子の1位はオランダ。以下アルゼンチン、ドイツの順。日本は男子11位、女子が6位。
 日本の競技人口は約1万人。国体や全日本選手権に加え、97年からは企業や大学のチームが混在する女子の日本リーグがスタートした。02年には男子リーグも始まり、現在は女子が8チーム、男子は10チームが参加している。
 07年には、元日本代表の飛田尚彦選手(30)が、ベルギーの「ロイヤル・アントワープ」に入団。日本人初のプロホッケー選手となった。女子日本代表のエース・千葉香織選手(26)も、世界最高峰と呼ばれるオランダリーグの「ロッテルダム」に移籍。千葉選手は、国際ホッケー連盟による「世界オールスター18人」にも選ばれており、世界のトップクラスに肩を並べる日本人選手が誕生し始めている。

●歴史●

 エジプトのナイル川流域で発見された紀元前2500年頃の墓に、曲ったスティックと丸い物を使って遊ぶ人物が、壁画として描かれているほど起源は古い。スティックでボールを打ち、ゴールの回数で勝敗を争うゲームは、古代から世界中で行われおり、地域や民族ごとに独自の名前やルールを持つホッケーに似たゲームが行われている。ちなみに「ホッケー」とは、フランス語で「牧羊者の杖」を意味する「hocquet」に由来するという説がある。
 近代ホッケーの起こりは19世紀半ば。英国のクリケット選手たちが、試合のできない冬場に始めたとされる。1886年には、ロンドンで協会が発足。ルールがまとめられた。20世紀に入ると、欧州各国のホッケー協会が交流をはかるようになり、1924年に国際ホッケー連盟(International Hockey Federation:略称FIH)が組織された。
 日本にホッケーが伝わったのは1906年(明治39年)。英国人牧師ウィリアム・T・グレーが、慶応義塾大学で有志を集め、指導したのが始まり。大正に入ると、明治や早稲田といった大学でも行われるようになり、東京や大阪、京都などでは、大学OBを中心に構成されるホッケークラブも結成された。1923年(大正12年)、大日本ホッケー協会(現在の日本ホッケー協会)が発足。この年の12月には、第1回の日本選手権が陸軍戸山学校で行われている。
 戦後、1946年に始まった国民体育大会でホッケーは採用され、全国で普及が進んだ。現在では、高校や実業団など各カテゴリーの全国大会が開催されており、03年からはマスターズの全日本大会もスタートしている。

●ルール●

 フィールドは長さ91.4m×幅55mのサイズで、サッカーよりひとまわり小さい。ゴールは高さ2.14m×横幅3.66m。ハンドボールのゴールよりも、ひとまわり大きい。ゴール前には、シューティングサークル(SC)と呼ばれる半径約15mの半円が設定されており、このサークル内でシュートを打たないと得点にならない。どうやって守備陣をかいくぐりサークル内に侵入するかの駆け引き。ゴール前で繰り広げる密集での攻防が、ホッケーの大きな見せ場になる。
 もうひとつの見せ場が、ペナルティコーナー。SC内で守備側の反則があったときなどに行われるセットプレーで、守備側の人数が5人に制限されるため、得点になる確率が高い。攻撃側はゴールポストから10m離れたゴールライン上から、SCの外側にボールをパス。受け手の選手がそのボールをいったん止めてから、シュートができる。
 35分ハーフの前後半制。ゴールキーパーを含む11人対11人で行う。選手交替の制限はない。キーパーに限り、プロテクターやすねあて、グローブ、ヘルメットなどの防護用具を着けることが認められている。
 スティックの先端部は、ゴルフのドライバーのように、左側だけが平面で右側は丸くなっている。右側で打つのは反則。しかも、左利き用のゴルフクラブのような、面の左右を逆にしたスティックは認められていない。そのため、スティックを半回転させたり、側面でボールを扱ったりする技術が駆使される。
 72年から、主要国際大会はすべて人工芝の上で行われることになり、ボールの速さは格段に上がった。かつて存在したオフサイドも廃止されており、ゲームのスピード感が加速している。

●競技団体●

(社)日本ホッケー協会
〒150−8050
東京都渋谷区神南1‐1‐1 岸記念体育館内
TEL:03−3481−2330
FAX:03−3481−2329
公式サイト
http://www.hockey.or.jp/

●大会スケジュール●

第39回全国高等学校選抜ホッケー大会
2008年3月26日(水)〜30日(日)
会場:富山県小矢部ホッケー場、福井県立ホッケー場 ほか

北京オリンピック男子最終予選
2008年4月5日(土)〜13日(日)
会場:岐阜県各務原市グリーンスタジアム
※出場国は12ヶ国中9ヶ国がすでに決定。残り3枠を争う18ヶ国が6ヶ国ずつに分かれて、日本、チリ、ニュージーランドの3ブロックで最終予選を行う。各ブロックの優勝国が出場権を獲得。日本ブロックには、日本のほか、ドイツ、マレーシア、ポーランド、スイス、イタリアが参加して、総当りのリーグ戦で優勝を決める。