カーリング(curling)
文・渡辺功
「Q.カーラー(curler)と言えば、女性の髪の毛を巻く美容道具として知られていますが、じつは、あるスポーツをする人たちのことも、同じくカーラーと呼びます。さて、そのスポーツとは、いったい何でしょう?」
最近流行りの雑学クイズに出てきそうな問題ですが、正解は「カーリング」。「カール(curl)」とは、「カーブ(curve)」と同じ語源を持つ単語で、「曲げる、曲がる」といった意味。つまり、カーリングの競技者は「カールする人」=「曲げる人」と呼ばれているわけだ。
相手の石をかいくぐったり、弾き飛ばしたり。約40m先にある円の中心に近づけようと、自分が投げる石を、どの地点で、どのくらいの角度で、どんなスピードで「曲げる」のか。「カールの良し悪しこそ、カーリングの醍醐味」(元日本代表監督・小林宏さん)なのだ。
98年長野五輪。最後は、わずか3cmの差で決着した日本対アメリカの熱戦。06年トリノ五輪。王者カナダから歴史的勝利をあげる「チーム青森」の活躍。かつては「氷の上で漬物石を転がして、ブラシで掃いている」と揶揄されたカーリングだが、ここ数年人気が急上昇。「氷上のチェス」と評される高度な頭脳戦であり、約2時間半に及ぶ1試合を終えると、バレーボールと同じ程度の体力を消耗するスポーツであることが、理解されてきた。
この冬、あなたも「カーラー」の仲間入りをしてみてはどうだろう。カーリングの面白さを知ると、4年に1度、テレビの前で盛り上がるだけではもったいなく思えるからだ。
●概要●
凍った川や湖の上で石を投げる遊びや、バイキングによる岩投げ大会が起源。発祥は15〜16世紀のスコットランドとされ、「1511年」と打刻されたカーリング用の石がスコットランドで発見されている。ただし、似た競技はオランダやオーストリアなど、各国で行われており、ドイツやイングランドには独特のルールや用具が用いられていたようだ。
ヨーロッパからの移住者によって北米大陸に伝えられ、カナダは国内に約1千ヶ所のカーリング場が存在するほどの「カーリング大国」。現在では、イスラエルやブラジル、ニュージーランドなど、全世界約40カ国に広まっている。最新(07年4月発表)の世界ランキングでは、男女とも1位がカナダ。男子の2位はスコットランドで、3位アメリカ。女子は2位がスイス、3位アメリカ。日本は男子が14位、女子は9位にランクされている。
近年では、車椅子カーリングや、男女でチームを構成するミックスダブルスなど、種目の広がりをみせている。
●歴史●
16世紀にはすでに、スコットランドのキンロスという町に、カーリングクラブのあったことが確認されている。1838年に「グランド
・カレドニアン・カーリングクラブ」によって、統一のルールがつくられた。カレドニアとは、スコットランドの古い呼び名のこと。
第1回の冬季五輪である1924年シャモニー大会以来、32年レークプラシッド、88年カルガリー、92年アルベールビルと4回の公開競技を経て、長野大会で初めて五輪の正式種目に採用された。(なお06年、国際オリンピック委員会は、シャモニー五輪の記録を正式なものとして公認。3位以内の選手へメダルを授与すると決めている。)
1966年にスコットランド、カナダ、アメリカ、スイスなど7つの国によって、国際カーリング連盟(91年、世界カーリング連盟に改称)が、組織されている。
日本での始まりについては諸説あるが、36年ガルミッシュ・パルテンキルヘン五輪のスピードスケート監督だった青木末広さんが紹介した説が、最も一般的。五輪の帰りに、スイスのダボスでカーリングを見たのをきっかけに、青木さんが用具を持ち帰り、翌年1月に長野県諏訪湖で練習会を行っている。直後には、山梨県山中湖で「第一回カーリング日本選手権大会」も開催された。ただ、この大会では、スティックと円盤を使っている写真が残っており、カーリングに似たドイツのスポーツ「アイスシュトックシーセン」に近い競技が、行われていたようだ。これらは、1940年の札幌五輪を目指した動きだったが、戦局の悪化で、40年の札幌五輪は‘幻’となる。それに伴い、日本のカーリング史は、いったん途絶えることになった。
再び注目されたのは、70年代後半になってから。カナダのアルバータ州との文化交流事業の一環として、北海道がカーリングを導入。元世界王者を招き、池田町や常呂町、苫小牧市など、道内各地で講習会を開き、普及に努めた。同じ時期、カナダ大使館の協力で「東京カーリングクラブ」が設立され、全国規模での普及を進めていった。1984年2月、北海道と東京、そして愛知のカーリング関係者を中心に、日本カーリング協会が設立されることになる。
●ルール●
長さ44.5m×幅4.75m。ハウスと呼ばれる半径1.83mの目標の円が両端に描かれた、氷の上で行う。ストーンは花崗岩製で、重さ約20kgの平たい円柱形。上部に取っ手状のハンドルが付いており、捻りを加えて投げることで、左右にカールさせることができる。
1チーム4人で行い、相手チームと交互に1個ずつ、1人2個のストーンを投げる。両チーム8個ずつ、計16個のストーンを投げ終えると1エンド終了。この時点で、ハウスの中心から最も近い地点に、ストーンを置けたチームに点が入る。相手側の最も中心に近いストーンより、内側にある自分たちのストーンの数が、そのまま得点になる。エンド外のストーンは得点にならない。1試合10エンド制。総得点で勝敗を争う。1エンドで大量得点できるので、大逆転も可能だ。
スキップと呼ばれる主将役が作戦を決め、投げる方向や狙いを味方に指示する。スキップとストーンを投げる選手以外の2人は、ブラシで氷を掃く。氷を掃く理由は、ゴミや氷屑にぶつかりストーンの角度が変わってしまうのを防ぐのと、氷の表面の凹凸を滑らかにするため。擦った氷が溶けて出来る水の膜が、潤滑油の役割を果たすため、掃き方次第で、ストーンの距離が2、3mも伸びるそうだ。
●競技団体●
(財)日本カーリング協会
〒150-8050
東京都渋谷区神南1丁目1-1 岸記念体育館内
TEL:03-3481-2525
FAX:03-3481-2526
http://www.curling.or.jp/
(財)京都府カーリング協会
http://www.geocities.jp/kyoto_curling/
:京都、大阪、兵庫、滋賀、奈良、和歌山の2府4県を統括する競技団体。浪速アイススケート場(大阪市浪速区難波中3丁目8-8)で、体験教室を開催している。
●大会スケジュール●
08年2月2日〜9日
世界車椅子カーリング選手権大会
会場:スイス
08年2月6日〜11日
第25回 日本カーリング選手権大会
会場:長野県軽井沢町 スカップ軽井沢
08年3月1日〜9日
世界ジュニアカーリング選手権大会
会場:スゥエーデン
08年3月8日〜16日
世界シニアカーリング選手権大会
世界ミックスダブルスカーリング選手権大会
会場:フィンランド
08年3月20日〜23日
第3回 全国高校カーリング選手権大会
会場:青森県青森市
08年3月22日〜30日
世界カーリング選手権大会 女子
会場:カナダ
08年4月5〜13日
世界カーリング選手権大会 男子
会場:アメリカ
参考文献
「みんなのカーリング」(小川豊和監修 学習研究社)
