.新しくプロのバスケットボールが始まったそうですが、どんなリーグなんですか?
質問者:「勇太ファイトさん /12歳」

.日本バスケットボール協会から分離独立したプロバスケットリーグ。親会社に左右されない「自立」をめざしている。

文・渡辺功

◆企業チームの相次ぐ廃部から誕生。キャッチフレーズは「バスケがしたい!」

 去年11月5日。約1万1千人の観客が見守るなか、大阪、仙台、東京の3会場で、日本初のプロバスケット「bj (Basketball Japan)リーグ」が、始まった。「大阪エヴェッサ」をはじめ「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」「新潟アルビレックス」「埼玉ブロンコス」「東京アパッチ」「大分ヒートデビルズ」。この6チームが、4月までに8回戦制各40試合のリーグ戦を行ない、上位4チームのプレーオフで優勝を決定する。
じつは、バスケットのプロリーグを作ろうとする動きは、10年以上前からあったんだ。
90年代の前半から、経済不況のため企業のバスケ部が次々と廃部や休部に追い込まれ、危機感を抱いた日本バスケットボール協会は、それまでの日本リーグをプロにする検討を始めた。ところが、プロ化に消極的な企業も少なくなかった。01年にはプロ化を前提とした「スーパーリーグ」が始まったものの、計画は前進しなかった。
そんな状況のなかで、新潟、埼玉の2チームが、日本バスケットボール協会から独立。中心になって結成したのがbjリーグなんだ。両チームとも、親会社の業績不振で廃部を余儀なくされ、地域に根ざしたクラブへ生まれ変わった歴史がある。
「企業スポーツの限界と地域密着型チームの可能性を、身を持って感じた」(元新潟会長、初代bjリーグコミッショナー河内敏光さん)というところから始まったbjリーグは、企業の宣伝でなく、バスケをやるために誕生したリーグといえる。キャッチフレーズは「バスケがしたい!」だ。

◆ブースター主義のショーアップ。将来は12チームの東西2リーグ制

 試合中、アップテンポのBGMが大音量で鳴り響き、ビジターチームのフリースローになると、DJが観客にブーイングを要求する。bjリーグでは、ファンをブースター(booster:支持者、後援者のこと)と呼び、楽しんでもらうためのアトラクションに力を入れているんだ。試合形式も、ゴール付近で防御側のプレーを制限するなど、得点が入りやすい独自のルールを採用。エンタテイメント性を高めている。
 運営面では、チームの年俸総額を6,000万円に統一。各チームは、最大15人の保有選手の報酬を、この金額の範囲内でやりくりする。リーグの運営会社「株式会社プロバスケットボールリーグ」が、スポンサーやテレビの放映の収入を一括して集め、独立した株式会社の各チームに分配。チームの収入差が大きくならないような工夫もされている。各チームは、ひとつの親会社の経営内容に左右されたりしないように、複数の地元企業の支援で成り立っている。
 初年度に見込んでいる1チームの運営費は、2.5〜3億円。Jリーグのトップチームの約10分の1。プロ野球のスター選手なら、ひとり分の年俸だね。サッカーやプロ野球よりも安上がりでチームを作れるためか、新規チームの募集には、全国から20件の問合せがあり、来季から富山、香川の2チームが加わることが決まった。
3on3やミニバスケを含めると、バスケットの競技人口は500万人と言われている。マンガの『スラムダンク』が人気を博して以来、潜在的なファンも多い。2010年までに、12チームで東西2リーグに分けるという計画は、もっと早く実現するかもしれない。
 開幕から2ヶ月。去年12月までの観客動員は、6チーム中5チームで、目標の平均2,0
00人を超えている。最多は3,246人の新潟。大阪も2,816人と健闘。県内のいろんな場所で試合をしている埼玉が、1,106人とちょっと苦戦中だ。

◆広がる世界との実力差。

 今年8月、男子のバスケットボール世界選手権が、日本で行なわれる。開催国として出場する日本だが、グループラウンドの突破ははっきりいって難しい。76年のモントリオール大会以来、男子は五輪出場も途絶えている。いち早くプロリーグをスタートした中国や韓国には、競技レベルでかなりの差をつけられた。プロリーグがある国や地域は、世界50ヶ国を超えている。世界レベルで通用する日本人選手の育成も、bjリーグ設立の大きな目的なんだ。
 日本バスケットボール協会も、世界に近づくためにはプロ化が必要だと考え、来年秋からプロリーグを発足させる方針だ。が、一方で「来年始まるのが唯一のプロリーグ。独立プロリーグ(bj)とは関わらないように」と、全国の地方協会に通知。bj 主催のバスケ教室などに、協力しないことを要請している。日本協会は、bj所属選手の登録も抹消。日本代表には選ばない方針だ。新潟、埼玉の協会脱退をめぐるしこりが尾を引き、対立が続く状態なんだ。また、日本協会とは別に、第3のプロリーグを結成する動きもある。
 企業の宣伝、一部の人の利益や面子…。そんなものに、スポーツを利用したりする時代は、もう終わっている。どんなリーグだろうと、バスケットの素晴らしさを自覚して、バスケットをする人たちが一致団結して自立していかなければ、日本のバスケットボールが発展するのは難しいだろうね。

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