女子ゴルフで、10代の選手が大活躍しているのは、どうしてなの?
質問者:「すばるのあかり /12歳」

.幼いときからのスタート。レベルの高い選手とのプレー。トッププロに負けない経験を積んでいる10代の選手たち。

文・渡辺功

◆藍ちゃん、さくらちゃんだけじゃない。大活躍の10代選手

 昨年、10代のスポーツ選手として日本で初めて1億円を超える賞金を獲得したのが宮里藍選手。今年4月にプロのトーナメントで初優勝し、お父さんまで有名になっているのが横峯さくら選手。
今年の誕生日で20歳になるふたりの活躍が、女子ゴルフを盛りあげているね。
 でも、活躍しているのは、このふたりだけじゃない。今年の「日本女子アマチュアゴルフ選手権」。この女子アマゴルフ最大の大会に出場した144選手中、10代の選手は78人。優勝した18歳の諸見里しのぶ選手をはじめ、上位8人のうち6人が、10代だった。
ほかにも、去年のこの大会で優勝した宮里美香選手は、当時14歳8ヶ月。史上最年少での優勝だった。愛知出身で15歳の金田久美子選手は世界ジュニア選手権で3連覇。彼女は12歳9ヶ月でプロ大会の予選に通過。次々と最年少記録をぬり替え、「天才少女」と呼ばれている。
藍ちゃんやさくらちゃんに負けない可能性を秘めた10代選手が、続々と登場しているんだ。

◆育成のシステム・環境に恵まれた沖縄

 なかでも、めざましいのは沖縄勢の活躍だ。「日本女子アマ選手権」の優勝者は、02年の宮里藍選手から今年の諸見里選手まで、4年連続して、沖縄出身なんだ。
 その背景には、10年以上前からジュニア選手の育成を目指した、沖縄ゴルフ界全体の熱心な取り組みがある。いくつものゴルフ場が、わずか500円の年会費で、ジュニアの選手に夕方のコースを提供。小中学生向けに250〜1,000円で、打ち放題サービスを行っている練習場も多い。
糸満市の南山カントリークラブが主催する「沖縄ジュニア選手権」には、毎年120人を超す沖縄のジュニアゴルファーが出場。宮里藍選手も、この大会の優勝者だ。
また、沖縄では全国に先駆け、公立の小中学校の授業に、ゴルフが取り入れられている。那覇市立壷屋小学校では、02年から日本で初めて、クラブ活動にゴルフが採用された。
 1年を通じた温暖な気候。市街地からクルマで30分程度の近隣にある多くのゴルフ場。沖縄では、ゴルフにオフシーズンがなく、誰もが手軽にゴルフを楽しめる。しかも日本で主流の高麗芝ではなく、海外と同じ、長く柔らかなバミューダ芝。吹く風は、強く重たい。沖縄ならではの難コースが、プレーを自然と「世界レベル」に、押し上げているんだ。

◆日本だけじゃない、活躍する10代

 通算72勝。日本人で初めて世界ゴルフ殿堂入りした、樋口久子女子プロゴルフ協会会長は、「ゴルフは10年ぐらいしないと力を発揮できないスポーツ」だという。
 横峯選手が、ゴルフをはじめたのは8歳のとき。宮里藍選手が、初めてクラブを握ったのは4歳だった。いま活躍する10代の選手のほとんどが、幼いうちから本格的にゴルフをはじめている。年齢は10代でも、キャリアは10年近い。高校卒業後にゴルフをはじめた樋口会長からすれば、驚きだろうね。
 じつは、最近は、アメリカでも10代ゴルファーが大活躍している。6月に行われた全米女子オープンでは、17歳のモーガン・プレッセル、19歳のブリトニー・ラング、そして15歳のミッシェル・ウイーといった選手が、激しい優勝争いを繰り広げた。
アメリカのプロ・ツアーは、アマ選手へ積極的に門戸を開いている。彼女たちは、12〜13歳から、プロと同じ試合に出場。よりレベルの高いトッププロたちと、一緒にプレーすることで、経験を重ね、実力を磨いている。ゴルフは、年齢を超えて一緒にプレーできるスポーツだ。このことが、若い選手の成長を促している理由かもしれない。
 沖縄に遅ればせながらも、99年には日本ゴルフ協会などの団体が「日本ジュニアゴルファー育成協議会」を設立した。低料金でのコースや練習場の開放。初心者向けで、やさしく安全な「スナッグ・ゴルフ」の普及など、底辺を拡げる活動を、全国規模で始めている。
 アメリカでは、タイガー・ウッズが登場して以来、低年齢のゴルフ人口が大幅に増えた。日本でも、宮里選手たちに憧れて、ゴルフを始める子供が増えるかもしれない。
「大人のスポーツ」「英才教育」といったイメージが強いゴルフだけど、みんなぐらいの年齢から、ごく当たり前に楽しめるようなスポーツになれば、近い将来、もっとたくさんの「世界的な」ゴルファーが誕生するはずだ。

<<しつもんのいちらんにもどる