「阪神タイガースが優勝すると景気が良くなると言われていますが、それって本当なのですか?」
質問者:「トラッキーさん/14歳」

優勝したときの経済効果があったとしても一時的なものに過ぎない。大事なのは、 優勝ではなく、チームが存在することによって野球界や地域社会が利益をあげれるかを考えることだ。

◆優勝するかしないかでの経済効果はあってないようなもの


 18年ぶりに見事リーグ優勝を果たしたタイガース。その瞬間を待ち望んだファンの影で、優勝する前から、近畿全体では1000億円、全国では4000億円の経済効果があるなどと、タイガースと経済を結びつける報道がなされてきたよね。1985年に優勝したときの経済効果が1650億円と言われている。竹中金融・経済財政担当相(現:財務大臣)までもがその例をあげ「ファンの1人として、また経済が良くなることを願う者としても、今年が転換の新たな節目になることを期待している」と公言していた。
 確かに、全国規模で開かれた優勝セールや、タイガース関連商品などの売れ行きなどを知らせるニュースが毎日のように流れたので、そう実感してもおかしくはない。でも、そのような経済効果が実際にあったとしても、一時的な効果に過ぎないと思うんだ。むしろ、優勝するかしないかで生まれたり消えたりする経済効果ではなく、チームが存在していることによって、プロ野球界全体や地域社会にもたらす経済効果というものを考えるべきではないかと思うんだ。

◆年間1000億円もの利益を上げるJリーグ

 Jリーグを例にとってみよう。Jリーグはどんどんチーム数を増やしているが、赤字のチームはたった2〜3チームしかなくなった。
 また、Jリーグが誕生する以前の日本のサッカー界は、JSL(日本サッカーリーグ)と日本代表チームあわせて、たった年間50億円くらいのお金しか動かないような規模で運営されていたんだ。それがJリーグの誕生で、一気に5、600億円の規模にはねあがったんだ。実に誕生以前の100倍のお金が動くようになった、といわれてるんだよ。
 不況不況と言われているけれど、日本サッカー協会は、今年、東京の本郷に巨大ビルを購入した。45億円をキャッシュで払ったというからどれだけ利益を上げているかがわかるよね。
 一方、野球はどうだろう。あれだけのファンがいるにもかかわらず、赤字、赤字で苦しんでいるチームは少なくない。
 パリーグは、全体で120億円の赤字。セリーグは100億円というとびぬけて黒字を出すチームがあれば、赤字20億円というチームもあるけれど、プロ野球全体にあわせてみれば、1チーム2〜3億円の赤字を抱えていることになる。

◆みんなのものか、企業のものか

 この違いは、どこから来るのだろうか?
 それは、未だに野球界が「ひとつの大企業が所有しているチーム」という状態から抜け出せてはいないからなんだ。
 野球チームが増えないのもそのひとつ。チームに加入するとなると、加盟料だけで60億円を日本野球機構という組織に納めなければいけないことになっている。現在存在している球団を買って、別の球団として加盟する場合でも30億円の加盟料が必要だ。球団を買うのにかかった費用のうえに、そんなお金をだせる企業が、どこにあるだろうか?
 Jリーグは、企業のものではなく、みんなのものだ。その地域にあるいろんな企業、市民たちがお金を出し合ってチームを支えているんだ。誰かが所有するのではなく、正に、“みんなのもの”。
 以前も書いたことがあるけれど、コンサドーレ札幌の例を振り返ろう。このチームは2000年、資金集めのために一般市民から新しい株主を募集したのだったね。一口5万円でお金を募った時、たった3ヶ月で3億円近いお金が集まった。それは2億5千万円の目標額を大きく上回るもので、多くの人が“自分たちのチーム”として支えあおうとした証拠だと言えるよね。
 優勝するかしないかということで得られる経済効果よりも、日本の野球をどうしていくかを考えることが野球の未来にとってどんな大事だろうか―そのことを、そろそろ野球界自身が気付かねばならないのではないだろうか。
 野球界がJリーグに学ぶこと。それは、きっとたくさんあるはずだよ。

<<しつもんのいちらんにもどる