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トップリーグに選出されるチームは、すべて企業のチーム。ラグビー界が、企業スポーツという形態を引きずっている限り、全体としてのレベルアップは期待薄だ。
◆期待できない!? ラグビー界のレベルアップ
2003年9月13日、ラグビーのトップリーグが開幕する。「トップリーグ」とは、まず関東・関西・九州など各地域の社会人リーグからトップの12チームを選出。66試合の総当たり戦とその上位8チームによるトーナメント戦により、チャンピオンを選ぶというものだ。今までは「全国社会人大会」として、各地域の上位チームによる一次リーグとトーナメント戦のみで頂点を決めていた。「トップリーグ」では、総当たり戦なので数多くの試合をこなすことになるね。それによってファンの拡大と日本のラグビー全体のレベルアップを図るのが狙いだ。
また、社会人リーグと大学リーグの上位チームがトップを争う「日本選手権」にも、トップリーグのチームが加わるよ。新たに「ジャパンカップ」として、トップリーグ・大学・社会人から選ばれた合計22チームが頂点をめざすことになっている。
試合数を増やし、地域を限定しないでいろんなチームと闘うことでラグビーの人気向上と普及をねらう「トップリーグ」構想。87年から4年ごとに開催されているラグビーのワールドカップでは、日本は3度連続出場を果たしたものの、決勝トーナメント進出はまだだ。
2003年にオーストラリアで開催されるワールドカップまでに、日本は世界レベルに達することができるか?
あるいは、近い将来のレベルアップは?
正直なところ、「トップリーグ」にそんな期待をするのは難しいように思える。
なぜならば、トップリーグに加わるのはサントリー、ヤマハ発動機、サニックスなどの企業チーム。企業チームというのは、あくまでも企業の宣伝を第一の目的としているチームだ。Jリーグのように「地域のためのクラブ」として青少年の育成や選手との交流を第一の目的としているわけではない。また、チームに所属する選手はその企業の社員でもあるから、当然、社員である限りは他チームへの移籍やトレードは行われにくくなる。強いチームは、実力のある選手をより多く抱え込むことになるね。結果として、そのチームでは補欠でも、他チームではトップに踊り出るかもしれないような選手の活躍する場を摘み取ってしまうことにもなりかねない。
そう考えると、トップリーグ内での局所的なレベルアップはあっても、「選手を育てていく」という幅広いビジョンが抜け落ちているものだから、将来的な向上は難しいのではないだろうか?
ファンの獲得にしても同じことが言える。企業名のついたチームに、その会社の社員でもない人々がファンとして根付いてくれるだろうか? Jリーグはチーム名に地域名を入れたからこそ、住民に受け入れられ、また、チームを運営面でも支える「サポーター」が、存在するのではないだろうか?
◆企業とスポーツチームの「ぬるまゆ的」関係
「企業スポーツ」を残したラグビーのトップリーグ。Jリーグが「地域スポーツ」として成功しているのを尻目に、なぜ「企業スポーツ」を引きずっているのだろうか?
それは、企業とスポーツ界の「ぬるまゆ的」関係にある。
前回も書いたのだが、Jリーグのようにスポーツクラブとして独立すると、クラブの運営や大会運営、それに伴うスポンサーとの交渉やチケットの販売等々の活動を、すべてスポーツクラブが行わければならなくなる。
一方、企業スポーツであれば、お金も観客も企業が面倒を見てくれる。観客が少なければ、集客のために企業が手を回してくれる。しかも、社員である限り、選手はある程度安定したサラリーをもらえるね。引退とともに職を失うこともないので、生活を考えれば企業スポーツのなかで社員として活動するほうが楽だ、という考えが出てきてしまうのだ。現に、ラグビーの運営組織には、「○○会社の課長」「△△銀行の取締役」という肩書きをもった役員が大勢いる。
川渕三郎は、会社の重役というポストをやめて、サッカー協会の専属となり、Jリーグを誕生させた。Jリーグを時期尚早だと言ったサッカー界の重鎮たちに対し、彼は「時期尚早と言う人間は100年経っても時期尚早と言うだろう」と反論したエピソードも残っている。
企業スポーツから脱却するのは、生活のリスクを考えると簡単なことではないかもしれない。
しかし、そんな「企業」と「スポーツ」のぬるま湯的関係を終らせない限り、Jリーグのような飛躍的なレベルアップ、飛躍的な人気獲得を望むことは難しい。
そうなると、近い将来、トップリーグをさらに根本的に変革できる人が出現することに、ひとまず期待するしかないのかもしれない。
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