「僕は、格闘技が好きなんですが、どうしてプロレスなどは、新聞ではあつかわれないのですか?」
質問者:「N.Iさん/12歳」
プロレスは、あらかじめシナリオのあるエンターテイメントとして、人気のあるもの。一般紙のスポーツ欄には、試合結果がすでに決まっているので、載らないだけのことだ。

◆ プロレスはエンターテイメント

N.I君は、プロレスのどこに魅力を感じているのだろうか?おそらく、レスラーたちが次々と繰り広げる技や、鍛えられた肉体によるパフォーマンス。「次にこの技がくるぞ!」と期待していたときに技が決まったときの面白さ、などではないだろうか?
プロレスはそんな面白さを追及した「エンターテイメント」で成り立っているんだ。勝ち・負けではなく、あらかじめ勝負のシナリオが決まっている。そのうえで、派手なパフォーマンスをレスラーが演出することで、ファンに面白さを与えているんだよ。(※もちろん、いくらシナリオといっても、肉体的な強さの違いから勝負がつくこともあるし、なかには真剣勝負だってあるよ)
つまり、一般の新聞のスポーツ面に載らないのは、結果がすでにわかっているからだね。試合の勝ち負けを載せるためのスポーツ面には、必要がないということだ。
だからといって、プロレスはつまらないということにはならない。「プロレスはエンターテイメントである」ことは、ほとんどのプロレスファンが知っていること。それでも多くのファンが存在しているのは、いかにプロレスが面白いか、ということの証拠ともいえる。
また、一般の新聞のスポーツ欄に試合結果は載らないが、プロレスラーやプロレス団体、その興行(試合)のやり方(運営)、ファンの喜ばせ方、といったことをクローズアップして載せることはよくあるよ。その場合は、新聞の社会面とか文化面に載ることが多いね。

◆戦後すぐには、新聞に載っていた?
ただ、第二次世界大戦が終わったあとの戦後すぐの時代にまでさかのぼると、プロレスの勝ち負けも一般の新聞に載っていたんだ。
たとえば「力道山」の戦い。テレビの最高視聴率が80%を超すほどの人気を集め、空手チョップで大きな外国人レスラーを次々となぎ倒す様子は、敗戦で自信を失っていた日本人に大きな勇気を与えたといわれている。
そんな力道山の戦いの結果は、必ず新聞に載っていて、「力道山勝利」「世界タイトル獲得」といった文字が大きく踊っていたんだ。
なぜかというと、日本中の多くの人々が、プロレスを「勝ち負けのあるスポーツ」として、信じて疑わなかったからなんだ。
しかし後に「シナリオ疑惑」がでてきて、真剣勝負に対する不透明さから新聞は取りあつかわなくなった。それは、スポーツ新聞も同じだった。
 しかし、20年程前からスポーツ紙が再び取りあげるようになったんだ。それは、プロレスファンが増えたことにある。つまり、「エンターテイメント」としても立派にファンを獲得できる存在になったからなんだ。こうなると、スポーツ新聞は売上のためにこぞって取りあげる、というようになるね。
 対照的に、「ローラーゲーム」という、ローラースケートでトラックを走り、相手チームを何人抜いたかを競うゲームが、昭和40年代に人気だったんだ。けれど、あるチームだけがどんなにリードされていても最後には逆転して勝つという、そのみえみえの筋書きのために、人気が衰えたといわれている。

◆スポーツはエンターテイメントではないのか?
以上のことから、プロレスはエンターテイメントであり、またエンターテイメントゆえに人気があるものだ、ということがわかったかな。
ちなみに、個人的に私が応援しているのは、みちのくプロレスの「ザ・グレート・サスケ」。彼は、東北地方で徹底したエンターテイメントとしてのプロレスチームを作ったんだ。地域密着型のスポーツ団体を成功させるために、養老院のおじいちゃん・おばあちゃんを招いたり、子どもたちを招いたりして、プロレスの面白さをいまも伝えているよ。
でも、そこで一番大きな疑問は、エンターテイメントはスポーツではないのか? という点かもしれない。
非常に難しい問題なのだけれど、登山だってスポーツ、ハイキングだってウォーキングだってスポーツだよね。でも、それらのスポーツは、勝ち負けはないし、楽しむためだけのものであるはずだね。
 何がスポーツで、何がスポーツではないのか?
この難しい問題に、君ならどんな回答をだすかな?
<<しつもんのいちらんにもどる