2001/08/23(THU)
 
  甲子園が終わった。今年も数多くの名勝負があり、将来を期待されるスター球児が現れた。既にスポーツ紙の一面 にはプロから指名の文字が先走りしている。毎年この時期になると思う。注目された選手はいいが、プロに入りたいと夢を抱きながら、甲子園の土も踏めずに夏を終えた球児達は夢をあきらめただろうか。
 私の番組のパートナーの大野豊さんは、高校3年生の予選も一回戦で敗退した。甲子園なんてとんでもなかったと笑う。野球は好きだった。しかし高校卒業後、女手一つで育ててくれたお母さんを楽にさせたいと、地元出雲で信用金庫に就職。3年後広島カープに入団したのはテストを受けてだった。しかしプロとして42歳まで現役を続け、数々の賞をとり球界を代表する左腕となった。それでも自分のことをエリートどころか、いわばおちこぼれのおちこぼれと笑う。

 その大野さんに聞いた。もう一度選択できるとしたら、エリート甲子園球児としてプロになるのと、同じように社会人を経てプロになるのとどちらを?
「やっぱり同じ道をえらぶかな。信用金庫時代ね、貯金してもらうために、頭下げてまわる。すぐに、はいどうぞとはいかなくて、何度も何度もまわってね。ボーナス時になったらなんとか5千円だけでも貯金してくださいって。時間をかけて信頼されて初めてお金を預けてもらえる。それは生きてるなあ、プロの生活に。何でも信頼されるまでには時間がかかる。三段跳びにいいことがあっても長続きはしないって。だからプロに入ってからも結果 がすぐに出なくても自分に我慢できたし、いいときも悪いときも同じでいたいと思い続けてこられた。」

 大野さんのすごさは、ユニフォームを脱いだ今でも、球場に足を運べば、ベテランから若い選手までどのチームの選手でも相談に寄ってくることだ。実績と人格。
 プロ野球を確実に支えている。
 今年甲子園の土を踏むことが出来なかった、全国の高校球児に期待したい。
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