スペイン代表とスペイン人

1世紀ぶりに発祥の地ギリシャで開催されているオリンピック。自国の選手の活躍に一喜一憂しているのは多少の温度差はあれどこの国でも同じであろう。日本のようにどのチャンネルにあわせてもオリンピックの話が出てくるような盛り上がりこそ見せてはいないものの、ここスペインでもサッカーを押しのけ連日トップニュースとして報道している。

現在カスティジャーノ(スペイン語:公式言語)の他にもカタラン(カタルーニャ言語)エウスカディ(バスク地方言語)ガジェゴ(ガリシア地方言語)と3つの言語がそれぞれのコミュニティー内で公式言語として使われている多民族国家のスペイン、郷土に根付く文化、伝統を大事にするためスペイン国民は代表に関しては興味が薄いと言われてきているがこれは間違いと言ってよい。

この回答を納得してもらうためにはスペイン人の特徴を理解して頂かなければならない。そう、現在多くの日本人が素直に表現できない家族、郷土への愛と誇りを。まずスペイン人が一番大事にしているのが家族である。昼食時には家族と共に食事をし、週末には一家で過す事が極当たり前の習慣のスペインでは3日休みがあれば例えバスで8時間かかろうが多くのものが故郷を訪れる。

郷土に関しても同様で、スペインではワイン、チーズ等全国各地で生産されており、もちろんそれぞれ名産地と知られている町がある。とはいえスペイン人にとって一番なのはたとえ味が劣ろうとも自分達の町で作ったもののことである。またそのような特産物のない地域でも自分達の郷土を卑下する事はない。「ここには何もないかもしれないが都会には無い自然と静けさがある。」と胸を張って語ってくれる。

またスペインに長く滞在している日本人にスペイン人が必ずする質問が2つある。
「長い間日本を離れていて日本が恋しくないのか。」
「日本とスペインどっちが好きだ。」
スペイン人にとって家族と長い間離れると言う事は想像がしにくいことで日本人が遠くスペインで家族と別れて楽しく生活している事を不思議に思うそうだ。逆に下の質問ではどちらを答えとしても「スペインはいいところだ。ずっといろ。」と言う返事が返ってくる。

つまり、自分の国、町、家族の良さを自信を持って表現出来る血がスペイン人の根幹に流れている。その血が濃いからこそ国内ではサッカーで見られるレアル・マドリッド対バルセロナのような強烈なライバル意識を生み出すのだ。もちろんその血は国外の試合になればマドリッド人、カタラン人関係なく自分の国であるスペインを応援をするように働きかける。何故ならイベリア半島にある国それが彼等のアイデンティティになるからだ。

またもう一つスペイン人が代表に関して興味が薄いと思われる原因を示すとするならばそれは応援のエンジンがかかるのが遅いという事だ。入手が困難だと言われるレアル・マドリッドのチケットでさえまだまだリーグの行方がわからないシーズン序盤は割と購入できるがシーズン終盤佳境に迫るころには入手不可能になる。コンサートでも開始時刻にはまばらでも盛り上がる頃には多くの人が集まり最後には永遠とアンコールを繰り返す。そして国際大会ではメダル獲得や優勝の可能性があると俄然盛り上がりをみせるのだ。

つまりスペイン人の応援の仕方はオードブル(予選)、メインディッシュ(決勝)と出てくる食事のスタイルと同じで徐々に楽しみを増やしていくものなのだ。

あまりにも強烈な国内のライバル意識とスペイン人の応援のエンジンのかかりの悪さが代表へ対しての興味が薄いと思わせているが、実際はスペイン人は日本人と同じようにテレビの前で!!Animo Espana!!(頑張れ、スペイン!!)と叫んでいる。スペインが盛り上がってる姿をみたいのであれば答えは簡単だ。選手達が結果を残すことだ。そうすればお祭り好きのスペイン人のこと、朝までクラクションがやむことの無いお祭り騒ぎをすることだろう。

山本孔一@マドリッド

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