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アメリカにおけるサッカー人気の実態について少し、第一回で触れさせていただきましたが、今回は更に深く、そして他の角度からお話をさせていただきたいと考えます。
4月17日(日本時間18日)、アメリカ、ニューヨーク・ジャイアンツスタジアムで行われたメジャーリーグサッカー(MLS)、DCユナイテッド対NYメトロスターズの試合にて歴史的なゴールが生まれました。DCユナイテッドの史上最年少プロプレーヤー、フレディ・アデュ選手(14歳)がプロ初ゴールを決めたのです。
おそらくこれは世界でも最年少記録ではないでしょうか。このガーナ出身のアデュ選手の人気はとてもすごく、スポーツ専門放送ESPNもリーグ開幕前からゲストとして彼を招き、独占インタビューをオンエア。DCユナイテッドの開幕戦は珍しく、前売りチケットが完売というフィーバーぶりなのです。
MLS自身も彼をサンノゼ・アースクエイクのスター、ランドン・ドノバン選手と並ぶ看板選手として低迷するリーグの人気を得る広告塔として推しているのであります。今まで僕自身もクラスメートにMLSの話をしても誰も特に興味を示さなかったり、選手の名前はおろか、チーム名も知らなかったのに、今ではアデュのことは皆、知っているというほどであります。
MLSはご存知の通り、変わったリーグ構成をしており、選手はチームとではなく、リーグと契約をするという中央集権的な仕組みになっております。これにより選手の賃金をリーグが一括管理することで、費用を抑え、また、選手から独占禁止法で訴えられることをも防げているのです。
それはさておき、そのような管理をされた賃金体制の中でもアデュ選手はヨーロッパのクラブからも注目をされており、彼が海外に移籍することを妨げるためにも若干14歳にしてリーグ最高給を設定されており、(問題になっておりますが)MLSの期待の高さを物語っております。
確かに14歳という事実が人気の原因で、彼が20歳になってしまったら、どれほど上手でも、アメリカ人のサッカーへの興味がそれまでに根付いていなければMLS、ひいてはアメリカのサッカー人気は育ちませんので、皆の目がMLSに向いている今、MLSは本当にサッカーの面白さをお客さんに解ってもらうことが出来なくてはなりません。
ではアメリカにおいて何故、サッカーが人気を博さないのか、面白い議論がクラスの仲間とあったので、ここに少し紹介したいと思います。
先ず、アメリカで人気のある野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケー、これらに共通しているのはどれも短い時間の勝負が何度も攻守を入れ替えて繰り広げられ、その結果も過程もルールもすぐに解るということです。
皆さん果たしてそうか?と思われたでしょうが、一つずつ追ってみましょう。
先ずは「野球」。2〜3時間かかるこのスポーツ、実は攻撃側と守備側の対戦を9イニングに分割しており、大体20分前後のイニング毎に「投手が抑えた」或いは、「打者が打ち、得点をした」と短時間にイニング毎の勝敗が出、これが9回繰り返されるのです。もう少し細かく言えば、一球、一球、投手が勝ったか打者が勝ったかすぐにわかります。1試合全体を見れば2時間〜3時間の長い試合ですが、実はこういう細かい勝敗が積み重なったものと言えます。
次に「アメリカンフットボール」、これも試合自体は3〜4時間と長いですが、実はプレー毎に区切られており、4ダウン以内に攻守の勝ち負けがすぐに見て取れるのです。攻撃側がヤードをゲインしたか、はたまた守備側がそれを防いだか。
「バスケットボール」も「アイスホッケー」も同様。攻守の切り替えが速く、攻撃側が得点をしたか守備側がターンオーバーをしたか。ガンガン、スピーディにひたすら手間隙をかけずに最短距離で相手ゴールを直線的に襲う形で試合は進みます。
このように短時間に勝敗を決することができ、それが早く連続して攻守が切り替わり、誰でもそれがすぐに見て取れるものをアメリカ人は往々にして好むのではないかということです。
もっと解りやすい例を挙げれば、オリンピックを考えてみましょう。100mや200mなど10秒〜20秒で勝敗が決する短距離走ではアメリカは多くの金メダルを獲得しますが、2時間ほど時間がかかるマラソンでアメリカが金メダルを獲得するということはあまり耳にしないですよね。
更に言うなれば、データが多く存在するものであればあるほど、アメリカ人は好みます。打率から、防御率、奪三振数、何ヤードゲインしたか、何得点したか、何回相手を倒したなどなど。ファンタジーベースボール(※)などがアメリカで人気があることからも解ります。ホッケー、アメフトから見て取れるのはこれらに味付けとして少々の暴力…。そして明確なルール。振ればストライク、パスを取る前にタックルをすればインターフィアレンス、などなど。
ここで一旦整理をすると、
- 攻守が明確
- 勝敗も明確
- 攻守の切り替えが速い=勝敗も速く解る
- ルールがわかりやすい
- データ豊富
- 少々の暴力もOK
- 多くの得点
- ひたすら直線的に、時間をかけずに相手のゴールを目指す
それではサッカーについて・・・・。
90分で攻守は常に入れ替わるけど、オフサイドなどあまり広くは認知されていないルールがあったり、選手が一度交代したら試合に戻れなかったり、暴力も基本的にはなし。主審によって異なる統一性のない笛。そして長い試合が間断無く続いた挙句に、得点が双方にない0−0で試合終了ということも珍しくない。バックパスが頻繁に行われる、などなど。じれったい所がサッカーのいい所じゃないか!とサッカーを愛している人ならば言うでしょうがこれが今ひとつアメリカでは受け入れられない要因となるようです。
面白いことにここアメリカで草サッカーをしていると、ボールを持ったら皆、ドリブルを中々止めませんし、バックパスをしません。僕がフリーで「落とせ!」と言っても強引に2、3人に囲まれていても、ドリブル突破を大体試みます。そして相手に取られても周りのアメリカ人は「惜しい、惜しい。次は抜けるよ」と言う。
この話をヨーロッパのバスケットボールチームで働いていた知り合いに話すと面白いことに「ヨーロッパでヨーロッパの人にバスケットボールをさせるとアメリカのようにゴールを目指して短時間で直線的に得点を目指して進むことよりもバックパスを頻繁に織り交ぜて、中々シュートまで行かないんだよ」と。
国ごとの文化が本当にスポーツにここまで如実に現れるものだとは知りませんでしたし、面白いものです。この理論でいけば、がんがんお互いにバックパスもせずに相手ゴール前にボールを放り込み合い、反則も統一され、ゲームの流れに沿って「プレーオン」とか審判の判断で言わず、たまには殴り合い、得点王、アシスト王以外にも数値化できるデータを何か考案し、たくさんゴールが決まれば、アメリカでもサッカーは人気が出るということになるのではないでしょうか・・・・。
つまり、なかなか難しいということですね。
※ファンタジーベースボールとは…
参加者自身が好きな選手を集めて架空の野球チームを作り、他の参加者のチームと勝敗を争う仮想ゲーム。現実のペナント・レースの成績をそのままゲーム結果へ反映し結果が出るため、チームのメンバーとして選んだ選手が、現実の試合で活躍したかどうかも気になってくる。
Reported by 中村 武彦
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