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毎年12月になるとイギリスの新聞や雑誌である言葉を目にするようになる。“スポーツ・パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー”である。イギリスの国営放送局であるBBCが毎年選定している、その年で最も活躍したイギリスのスポーツ選手を決めるこの番組は2003年で節目の50年を迎えた、歴史と権威を誇る年末恒例のテレビ番組である。
過去の受賞者の顔ぶれをみるとそのままイギリスのスポーツの歴史と重なる。3度の世界王者に輝いたF1ドライバーのジャッキー・スチュアート、66年W杯を制したイングランド代表主将のボビー・ムーア、三段跳びのジョナサン・エドワーズ、ボクシングヘビー級王者レノックス・ルイス、女子マラソン世界記録保持者ポーラ・ラドクリフ、五輪で5つもの金メダルを取ったボートのサー・スティーブン・レッドグレイブ、そして現イングランド代表主将ディビッド・ベッカムなど実に多士済々である。あらかじめBBCで候補者を5名ほど選定するが、選定方法は実にシンプルかつフェアである。投票は視聴者によって電話もしくは携帯電話からのテキストメッセージで番組終了40分前程度まで行われ、一番多く得票を得た選手が最優秀スポーツ選手として選ばれる。
その他にもチーム・オブ・ザ・イヤー(最優秀団体賞)、最優秀海外選手賞、最優秀監督賞、生涯功労賞、最優秀新人賞などが表彰される。2003年度は記念大会ということもあり、過去の受賞者及び著名なアスリートが一堂に会して華やかな雰囲気の中で行われたが、主役は何といっても11月のラグビー・ワールドカップで北半球初の王者に輝いたイングランド代表だった。非公式ソングながらもはやイングランド代表の代名詞ともいえる応援歌「スウィング・ロー、スウィート・チャリオット」が流れる中、金色に輝くエリスカップと共に壇上に向かう彼らを、伝説的な名選手たちがスタンディング・オベーションで迎え入れる様は荘厳で、いかにスポーツが文化としてこの国に根付き、その精神が継承されているかが感じ取れた。強烈なキャプテンシーでチームを引っ張った主将のマーティン・ジョンソン、そしてイングランドを王者に押し上げた原動力であるスタンドオフのジョニー・ウィルキンソンの2人が今年の候補者5名の中に選ばれ、ウィルキンソンが圧倒的な得票差で今年のスポーツ・パーソナリティ・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
日本でも年末になるとその年のスポーツニュースを振り返る番組はいくつも目にするが、このようにスポーツの歴史とスポーツ選手に対する敬意を払った形の番組は少ないのではないだろうか。しかし、プロアマ、新旧問わず様々なジャンルからのスポーツ選手を列席者として招き、彼らと共にその年のスポーツ全般を振り返り、国内外を問わず活躍した選手には正当な評価と惜しみない拍手を贈り、輝かしい未来を持つ若い選手を奨励し、過去に偉大なる足跡を残した選手には功労賞として表彰と共に彼らの記憶を新たな世代へと継承する。そしてその年最も活躍した選手を視聴者からの投票で決める。そうしたスポーツアウォーズともいえる番組こそ、プロスポーツのみに偏りがちな報道、表彰を是正し、健全なるスポーツ文化を醸成するために必要不可欠なものではないか。格闘技興行戦争も結構だが、一年を振り返る大晦日には、スポーツファンとしてはそんな番組を見て年を越したいと思う。
Reported by 星見洋介:英国発
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