体脂肪を減らすためには筋力トレーニングも

〜基礎代謝量を増やして体質改善〜

暑い夏、そして、4年に一度の熱いアテネオリンピックが終わって季節はスポーツの秋へ。さわやかな汗を流す季節の到来です。各地でリーグ戦やロードレースが開催され、スポーツをすることでも観ることでも刺激を受けることができます。

しかし、一方では食欲の秋。食欲にかまけて摂取してしまえば、夏の猛暑による食欲不振から一転、たちまち身体中の体脂肪を増やしてしまうことになります。体脂肪の減量に効果的なトレーニングは、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動であると言われています。ニコニコおしゃべりしながら負荷を持続できる運動は、心臓や筋肉を適度に刺激し、エネルギー消費量を増やします。そして、筋肉量を増やすことでさらに効率よく体脂肪を減らすことができます。

私たちの(人間の)体内では、体温の維持や血液循環、心臓の拍動などさまざまなはたらきが行われ、エネルギーが使われています。24時間眠り続けていたとしていたとしてもエネルギーを消費しているのです。しかも無意識下で。この生命維持のために最低限必要なエネルギー量(基礎代謝量)は筋肉量の多い人ほど高いため、適切な筋力トレーニングを実施して筋肉量を増やすこと、また、ストレッチや柔軟体操をしてこれまで利用されていなかった筋肉を利用できるようにします。このようにしてエネルギーを消費しやすい体質にした上で有酸素運動をすれば、より効果的にエネルギーを消費できるのです。

しかし、基礎代謝量は性別や年齢によっても異なります。一般的に男性は筋肉量が多いために基礎代謝量が高い傾向にあります。男性ホルモンが筋肉増強の効果をもつからです。また、体重の増加や身長の伸展など身体の各器官の成長が盛んな成長期も基礎代謝量が高く、身体の各機能のはたらきや代謝が盛んになるスポーツ活動の実施によっても基礎代謝量が高くなります。したがって、年齢を経て発育が止まり、運動不足になると基礎代謝量が低くなる傾向にあり、その結果、若い頃と同じ食事をしていると体脂肪を貯めやすい体質になってしまうのです。

アスリートの加齢と競技力を考えた時、基礎代謝量が低下するのを防ぐためにも筋肉量を維持するトレーニングが必要なのかもしれません。特に女性の場合は。

競技生活を送っていた頃の私は「長距離選手に筋力トレーニングは必要ない」と信じ込み、自分の体重を利用した腹筋や背筋、腕立て伏せなどの補強程度で積極的な筋力トレーニングの実施は皆無でした。しかし、競技生活を終えた頃、所属した大学の研究室の教授から筋力トレーニングの必要性をアドバイスされました。「筋力トレーニングは筋肉量を増やすためだけではなく、維持するためにも必要だったのではないか」と。長距離走者などエネルギーを消耗する有酸素系の種目は、筋肉量や骨量、血液成分も減少、低下しやすいためにそれらを合成する効果を期待できる筋力トレーニングをするのが理にかなっている、ゼロのものをプラスにするのでは、マイナスのものをゼロにするために筋力トレーニングをする…。もちろん、同時に身体の各組織を合成するための栄養が必要であることは言うまでもありません。

現在、日本では女子マラソンがさかんになり、世界屈指のマラソン王国となりました。競技人口を増やすために各地での普及活動や大会設立などに関わる方々の尽力の他、情熱のある指導者、充実したスタッフ、恵まれた環境、科学的なトレーニングの導入などによって競技力を向上させている選手が増えています。しかし、加齢による競技力の低下は無視できません。競技力をいかに高いレベルで維持させるか、過去のトレーニング方法をそのまま継続して良いものか…。今後の女子マラソン界での重要な課題かもしれません。

図:年齢と基礎代謝量
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