自律神経をコントロールする

連休中、戸外のあちこちでスポーツをする人を見かけました。ジョギングする人、テニスラケットを振る人、サッカーに熱中する学生、少年野球に没頭する子供たちとその監督、息子や娘の活躍を喜ぶお父さんとお母さん…。適度に身体を動かすことで心身が爽快になります。また、自分自身が身体を動かすだけでなく、スポーツを観戦して一喜一憂するのもこれまた日常とは違った刺激を受けられ、まさに新鮮な季節です。

しかし一方で、この4月から新しい人間関係や環境の中に身をおいた人は少々疲労を感じる時でもあります。五月病といわれる所以です。

心身をリフレッシュさせるために適度な運動が効果的であることは周知のとおり。そして前回のコラムでは、心拍数を利用して日々の体調やトレーニング強度を把握する方法を紹介しました。今回は心拍数を利用して自律神経系のはたらきをチェックする方法を紹介します。

 自律神経系は交感神経系と副交感神経系によって支配されています。交感神経系は緊張感のある時やイライラしている時に優位にはたらきますから、この時心臓の鼓動が速くなり、血管は収縮(細くなる)し、食欲はなくなる傾向にあります。一方、副交感神経系はリラックスした時に優位にはたらきますから、心臓の鼓動は遅くなり、血管は拡張(広がる)し、内臓の働きが活発になって食欲は増進。消化吸収率も高まります。そしてこの自律神経系のはたらきの良し悪しは、呼吸と心臓の拍動の様子でチェックすることができます。

ヒトは無意識に呼吸をしていて、この呼吸の吸気時(吸っている時)には交感神経系が優位にはたらき、呼気時(吐いている時)は副交感神経系が優位にはたらくことがわかっています。つまり息を吸った時の心拍数は速くて緊張している状態、ゆっくりと吐いた時の心拍数は遅く、リラックスした状態です。そして、このそれぞれのはたらきがはっきりわかるようであれば自律神経系が正常にはたらいているのです。心臓の拍動が常に規則正しければいいのではなく、緊張感のある時とリラックスしている時にそれぞれの神経系がしっかりとはたらき、身体の各器官をコントロールしてこそ自律神経系のはたらきがいいと言えるのです。

☆自律神経系のはたらきが正常な時の呼吸と心拍数(R-R間隔)の関係

心電図.a
○息を吸っている時(交感神経が優位):心拍数の間隔(R-R間隔)が短い(心拍数が速い)  
心電図.b
○息をゆっくりと吐いている時(副交感神経が優位):心拍数の間隔(R-R間隔)が長い(心拍数が遅い) 

スポーツの現場で試合前やレース前、また、怖い指導者や先輩の指導を受けている時は緊張感やイライラがあって呼吸が苦しくなりがち。空気を吸うばかりで吐けなくなっていて、心拍数が速く、交感神経系のはたらきが高まっています。この時に意識して息をゆっくりと吐くようにすれば副交感神経系のはたらきを高めることになり、リラックス効果を期待できるのです。試合前やレース前に「深呼吸しなさい」「息を吐きなさい」と言われますが、これは緊張感を解いてリラックスするためのひとつの方法です。気功やヨガで呼吸法を大切にするのは、この自律神経をコントロールするためです。

スポーツの現場だけでなく、日常生活においてもいつでもどこでも測ることのできる心拍数。測定する時はその拍動数(心拍数)だけでなく、呼気時と吸気時にどう打っているかをチェックしてみてください。より高度?に心身のはたらきをチェックできるはずです。

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