寒いレースと暑いレース

〜大阪国際女子マラソン観戦〜

1月25日(日)大阪の寒空の下、千葉県からかけつけた応援部隊とともに長居スタジアムへ。この日は、今夏8月13日に開幕するアテネオリンピックの女子マラソン代表を決める選考レースの一つ、2004大阪国際女子マラソンが開催されました。私の住む京都は気持ちの良い快晴。友人と「今日はいいコンデションだねえ」と話しながら大阪に向かったのですが、スタジアムが近づくにつれて小雪が舞い始め、集合場所に到着すると寒い…。

11月の東京、1月の大阪、3月の名古屋と日本の三大女子マラソンの中で、この大阪国際女子マラソンがコース、時期とも記録が出やすいと言われ、今回もアテネオリンピック日本代表を目指した有力ランナーがこのレースに集まりましたが、当日のスタート時の気温は3.7度。小雪はやんだものの寒い寒いレースの幕開けとなりました。

昨年11月の東京国際女子マラソンの日は、例年にない24.0度という例年にない暑さ見舞われ、出場ランナーは暑さとの戦いでした。そして、今回の大阪国際女子マラソンは寒波に見舞われて寒さとの戦い。その気温の差に沿道から声援を送る私たちでさえ悲鳴を上げそうでしたから(私は両レースとも沿道から観戦しました)、42.195kmを駆け引きしながら走るランナーたちにとって、心理的なストレスはもとより生理的なストレスもかなりのものであったと思います。

人間の身体は、冬の寒さや夏の暑さでも体温が36度前後に保たれています。

暑い時は、血管が太くなって体の表面に熱が運ばれることによる熱の放散の他、発汗による蒸発作用によっても熱が放散されています。これには水分による血液の循環が必須。また、発汗によるミネラルの消失は体内でのエネルギーの産生を妨げることになってしまうため、運動中の体温の上昇を抑えることと栄養成分の補給のためにも水分補給が必要となります。

一方、寒い時は、皮膚の血管が細くなって熱の対外への放散を防ぐほか、皮下脂肪が熱の放散を遮断してくれます。また、「ふるえ」によりエネルギーを作り出すことによっても体温を維持しています。したがって、寒い環境にさらされている場合は、快適な環境下よりもエネルギーが大量に必要になるのです。また、寒い環境の中で運動すると体温の変化はなくても皮膚の温度が下がっていきます。

また、人間は暑さよりも寒さへの適応の方が早いことがわかっています。つまり、日常慣れた気温が高い暑い環境よりも、気温が低い寒い環境の方が身体の対応は早く、身体へのストレスはましということです。これらの体温の維持を含めて暑さ、寒さへの対応に関する人間の生体システムは神秘的としか言いようがありません。何しろ、日本では冬は氷点下、夏は40度近くなるため、その気温差は40度もあるというのに体温はほぼ一定の温度なのですから!

ところで、今回、寒いレースの際にアームウォーマーをつけていた選手が目立ちました。これは、文字通り腕の熱の放散を防ぐためのもの。しかもレースの途中ではずせるメリットがあります。これまでのように寒い環境下でのレース時に袖のないランニングシャツにするか、長袖シャツにするか迷う必要がなくなったのです。寒い環境の中で運動すると血管が狭くなって血液の循環が不十分となり、結果的に腕や脚の先でエネルギー不足が起こってきます。この時、皮膚の温度が下がっているため、腕や脚の感覚がなくなってしまいます。腕や腿は体幹(胴体)よりも環境の変化に敏感ですから、暑い時は冷やす、寒い時は冷えないようにして、エネルギーを十分にいきわたらせる配慮が必要です。便利なグッズができました。



レースは終盤に動き、天満屋の坂本直子選手が31km付近でスパートしてそのままゴールのテープを切りました。坂本選手は今回のレースに備えて実施した高地トレーニング合宿が寒い環境だったとのことですから、今回の寒さに対する「慣れ」があったのかもしれません。

寒さの中、応援のためにスタジアムをスタートした私たちですが、沿道や駅の構内を走り、また、階段を駆け上がって応援しました。テレビの映像では体感することのできない目の前を通るランナーの息づかいを感じながら…。ランナーの激走に負けない激走でスタジアムに戻った時には心も身体もとても熱くなっていました。

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