|
多種多様なスポーツを分類してみるといろいろな分類ができます。栄養面から考えれば、無酸素的エネルギー系である瞬発系と有酸素的エネルギー系である持久系か、また、途中で給水や捕食が可能かどうか、連日連戦が行われるか、環境の変化の起こりやすい屋外での競技なのかそれとも環境を制御された屋外でなのかなど・・・。
スポーツを観戦するときに何に焦点をあてていますか?「速い、遅い」ですか?「勝った、負けた」、「上手い、下手」、それとも「あの選手、カッコいい、かわいい」ですか?
スポーツを観戦する時にどこを意識してみているかは人によって違います。勝ち負けや速い遅い、上手い下手だけでなく、どこがどうだから速いのか、どこに上手さの秘訣があるのかなどを探ってみるのです。面白さがさらに広がるはずです。自分がやってみるのも然り、分析したことを実際にやってみると思わぬ成果がでることもあります。一つの物事を見るときにいろいろな角度から見られると自分自身のトレーニング方法や指導の幅が広がります。「ある現象が起こった時にその原因をいろいろな角度から検証してみよ」というのは、私がスポーツ栄養学の師匠から受けた指導です。
この分析のための視点の一つに「重心の位置」があります。
重心とは身体の全体重の中心のことで、直立姿勢ではおへその辺りになります。ランナーの場合、この重心が高く、前方にある姿勢のときに体重の移動がスムーズであり、楽に足を前に出すことができます。したがって、足への負担が少なくてすみます。調子の悪い時は重心が低いだけでなく、後方に引けていることもあります。この状態は筋力不足やウォームアップ不足の場合にも起こりますから、筋力アップや十分なウォーミングアップの実施によって克服できることになります。

私の趣味のひとつである山登りは、交互に手足を動かして全身を前方へ運ぶという点ではランニングと近いものがありますが、荷物を背負うこと、スピードは求めないことに大きな違いがあります。荷物を背負うことによって重心は高くなります。したがって、山登りのコースのアップダウンに対応させるためにはランニング時の重心を低いところに意識した方が疲労を軽減できます。長時間運動には、疲労を最小限にとどめて体力を温存させることが必要です。

一方、重心が低いところにあったほうが有利な種目もあります。柔道やレスリングなどの種目は重心が低く、後方に引いた方が足の踏ん張りがききます。重心が高くなった瞬間にスキをつかれて投げ飛ばされたり、倒されたり…。
バレーボールをする場合は、重心の垂直移動が必要になります。しかも速く、高く。私は、長距離走をしていなければ、確実にバレーボールをやっていましたが、長距離走の専門的なトレーニングを実施して競技力が高くなればなるほど垂直に高く跳べなくなりました。体重の水平方向への移動と垂直方向への移動に利用される筋肉の質や神経系のはたらきが違うからです。一つの競技に専門化されるほど、他の競技が苦手になることがあります。

重心の位置ひとつとってもスポーツ種目によっていろいろな特徴が見えてきます。スポーツ観戦の時にこれまでと視点を変えてみる…。今年のスポーツ観戦の楽しみが増えることと思います。
|