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いよいよ紅葉のシーズン。スポーツする人にとっては、絶好の季節の到来です。私もお天気のいい日は、うきうき、そわそわ。ちょうど10月末に静岡で国体があり、青く広い空の下、競技場にいるとつい走り出したくなっていました…。
私の専門はランニングですが、つい先日、テニスをする機会もありました。上手い下手は別としてテニスは私の好きなスポーツの一つです。ただ、このテニス、私にとって最大の問題は、腕のパワーがないことです。もちろん、テニスは腕のパワーだけで上手い下手が決まるものではありませんが、毎日のようにテニスをしている人は左右の腕の太さが違うほどに太く、しっかりしてくるのに対し、私の腕、特に手首は骨と皮なのです。ところで、テニス選手の左右の腕の太さが違うのはなぜでしょう。左右の腕には同じ栄養分が通っているはずなのに…。トレーニングすればするほどラケットを振った時の衝撃が腕の筋肉への刺激となり、血液中を流れるホルモンや酵素のはたらきを活性化して筋肉を肥大させ、また毛細血管(細い血管)等を増やすためです。私の場合、今のところ、腕を太くするほどの刺激、つまり、トレーニング量が少ないのです。
それでも以前に陸上競技の指導を受けた小出義雄監督(現SAC監督)は、お会いする度に「おめえはいいなあ、腕が細くて」と腕の細いことをほめてくださいます。正直言って腕の細さは私にとってはコンプレックス。ほめられても嬉しいと思ったことはありませんが、監督いわく「ランニングの時に腕振りが楽でいいだろう」とのことなのです。テニス選手は腕の太さが、長距離走選手にとっては腕の細さが武器(?)になります。
スポーツにその種目に有利な体型や筋肉の質、などの素質があるということです。
この素質については身体の機能を測定したり、心理面を調査したり、最近では遺伝子の解析によってもある程度特定したり推定することができるようになっています。スポーツにおいては、その素質をもっていること、そしてその素質を活かすこと、つまり筋肉や骨、遺伝子などの武器をトレーニングによって刺激して、活かすことで能力が発揮されます。「タレント(素質)の発掘」によって素質のある人を選び、その人に効果的なトレーニングをしてチャンピオンをつくるプロジェクトもあります。ただし、スポーツ種目に必要な素質は心技体を含め、一つではなく複数の要因が複雑に関係しているという難しさ、というかおもしろさがあります。
一方、スポーツに限らず、糖尿病や肥満の遺伝子もある程度わかってきていて、遺伝子を調べれば病態への危険度が予測できます。ある病体の遺伝子を持っている人は持っていない人に比べてその病気になりやすいということですが、仮に糖尿病や肥満遺伝子を持っていたとしても糖尿病や肥満になるかどうかは別の話です。こちらの方は、病態の遺伝子が刺激されて発現しないように運動や食事に気を遣うことで、病気を防ぐことができます。
スポーツにおける素質。そのスポーツに必要な素質を選手のどこに見い出すのか。筋肉や骨、遺伝子なのか、それともセンス、勘、精神力なのか…。また、選手の素質をどのように開花させるのか。適切なトレーニングなのか、環境の整備なのか、意欲の喚起なのか…。
現在トップレベルにある選手は、素質をもち、かつそれがすでに開花しているのかもしれません。磨けば光る原石を見つけ出してどのように磨くのか。選手の素質を見出し、育て、見守り、指導する…。選手の素質を生かすも殺すも指導者の手腕にかかっていることと思います。
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