スポーツの再現性

市内で開催されたの西日本中小学生フィギアスケート競技会を観戦しました。梅雨明けでぎらぎらと日の照りつける暑い暑い屋外に比べると会場はさすがに涼しくて快適でした。以前、全日本スピードスケート選手権で長野県のMウェーブに行った時は年の瀬の迫った冬の最中で外は雪。会場も氷の条件を維持するために気温が低く設定されていて、芯から冷える身体にカイロを離せませんでしたが…。

氷上では技術や表現力に磨きをかけたあどけない顔のジュニアスケーターたちが、それぞれの演技を披露しました。小さな身体いっぱいにエネルギーを感じさせる選手、しなやかな手足と顔の表情についうっとりしてしまうような選手、ちょっと身体が重そう、とついつい厳しい目で見てしまう選手…。そして、演技終了後、審判員によってそれぞれの選手の技術と表現力が評価され、順位がつけられました。
フィギアスケートや器械体操、シンクロなどの採点種目は高度な技術や芸術性を組み込んだ演技を日頃のトレーニングで反復し、本番ではそれを100%発揮することで評価されます。そのために筋力トレーニングや専門のトレーニングで体力をつけて技術を磨き、音楽や衣装、振り付けなどにも神経を配って芸術性を高めます。「演技前にステージに立っているだけで点数が違う」こともあるため、スタイルやお化粧、表情への配慮も必要になります。このような芸術性を評価される種目では、「見せる(魅せる)」、「聴かせる」などエンターテイメントの要素が多分にあり、選手や指導者が描く理想に近い演技を本番でどれだけ披露できるが勝負を左右することになります。

一方、マラソンやトライアスロンなどは、日頃のトレーニング以外に本番にならないとわからない要素があります。これらの種目はレースのたびに気温、湿度、風速、風向が異なり、また、コースの起伏やライバル選手の出場の有無、レース展開など、同じ条件下でのレースはありません。事前にコースの下見はできたとしても気象条件やライバルの位置取り、レース展開など本番当日のレースを想定したトレーニングはできないのです。つまり、再現性がないといえるのでしょう。「練習には強いのだけど…」とよく耳しますが、レース中に周囲の環境を敏感に感じ取れる選手、また、状況に応じて敏速に対応できる選手が本番で強いようです。

さらに、サッカー、アメフト、ラグビー、野球などの球技系の場合は、技術、体力の他に戦術も勝負には重要な要素となります。キャッチボールや素振りなどによってボールやバットのさばき方など、技術を習得し、筋力トレーニングやランニングによって体力を養成しています。そして、これらに加えてスコアをつけたり、ゲームや個人の動きをビデオに撮って戦略を統計的に解析し、相手の作戦や特技・弱点を把握した上で、当日のメンバーの登録を配慮したり、相手の出方によってこちらの作戦を考えることになります。再現性を期待できるといえるでしょう。そして、選手は、相手の動きや作戦に対応する戦術と動ける身体づくりを備えていなくてはなりません。
柔道やレスリング、ウエイトリフテイングなどの階級制の種目では、体力や技術・選出の他に試合前の計量にパスしなくてはなりません。本番前に減量との戦いがあるのです。
レースやゲーム、演技の本番中に何を視ていますか?相手の動きですか?それともチームメイト?自分自身の身体の変化でしょうか?日頃のトレーニングではどうですか?これまでの視点を変えてみれば、これまで見えなかったものが見えてくるかもしれません。強くなる一つの秘策かも???

スケート場を離れて外へ出ると汗がどっと流れ、真夏の日差しにまぶしくて目が開けられないほどでした。この暑さから冬になればスケートのシーズンの到来です。ジュニアたちがどのように育っていくのか…。半年後を期待しながら涼しい会場を後にしました。

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