去る11月に京都の丹波高原で30kmのロードレース大会がありました。当日は晴天に恵まれ、絶好のスポーツ日和。多くのランナーがレースに挑み、私自身も30kmは5回目の挑戦となりました。そして、今大会は20周年の記念大会であったため、京都ゆかりのマラソン選手として千葉真子選手(豊田自動織機)が招待されました。千葉選手とは夏にボルダーで実施された高地合宿で2ヵ月半のあいだ寝食をともにしたので、再会をとても楽しみにしていました。

 ところで、この大会は、ロードレース出場者のために臨時に列車が運行され、私もこのマラソン列車に乗り込んで会場まで移動しました。列車に乗り込んだランナーの中にはおにぎりやパンを食べはじめる人も…。スタートの10時20分まで3時間余りの時間帯でした。

 レース前のいつ、何をどのくらい摂るかは、とても大切なことであり、この時、レースのスタート時間や距離、目標タイムなどを考慮するようにします。一般的には、レース前にはエネルギー源であり、グリコーゲンの材料となるご飯やパン類、パスタなどの炭水化物を中心に補給します。グリコーゲンが枯渇すると身体が動かなってしまうため、レース中もグリコーゲンを節約しながら走ることがスタミナ維持につながってきます。ただし、同じグリコーゲンの材料であってもその形状や消化吸収の特色があります。

 ご飯やパスタなどの炭水化物は消化吸収に時間がかかるため、レース直前に摂ってしまうとエネルギー源とならないばかりか、レース中、消化吸収のためにはたらく内臓に負担をかけることになります。摂るのであれば、レースまで時間に余裕がある場合。したがって、レースの前日にパスタを食べるのは理にかなっています。

 一方、レースまでに時間の余裕がない場合に速効的なエネルギー補給を期待して甘いもの(糖分)を摂ることがあります。しかし、この時、ブドウ糖など、糖分の種類によっては、吸収は速いものの血液中の糖分を一気に高め(インスリンショック)、脂肪のエネルギー化を妨げてしまう場合があります。また、糖分(ブドウ糖や砂糖)を含むドリンクは、一般的に胃にたまりやすく、腹痛を起こすこともあり、運動の妨げの原因ともなります。レース直前やゲーム開始の直前のエネルギー補給として、「消化吸収に時間のかかるもの」と「グリセミックインデックス(インスリンを刺激する程度)の高いもの」はお勧めできません。

 そこで、最近、スポーツの現場では、デキストリンと果糖(フルクトース)が注目されています。デキストリンは、炭水化物とブドウ糖のそれぞれのメリットをとった成分であり、消化吸収が速く、胃にたまらずにエネルギーの補給ができる成分。果糖(フルクトース)は、糖分の中でもグリセミックインデックスが低いために、体内の代謝を妨げることなく、エネルギーの補給することができます。また、これらの形状も一般的には、固体よりも液体が消化吸収されやすく、ゼリー状のものも市販されています。レース直前や途中のエネルギー補給に成分と形状にこだわってみてはどうでしょうか。

 ただし、同じレースに出るとしてもその人がどのくらいトレーニングを積み、どのくらいのペースで走るのか、また、ゴールまでどのくらいの時間がかかるのかなど、個人差が大きいので、有効な給水や捕食にも個人差が出てきます。さらに、トレーニングを積んで筋肉が鍛えられれば、体内の代謝も変わってきます。以前に「これを摂ってうまくいったから」、と言っても以前と現在とのトレーニング状況が違えば、当然エネルギーの補給にも考慮が必要になることをお忘れなく!

 さて、このレースで招待選手の千葉真子選手は優勝こそ逃したものの、年明けの1月26日(日)に大阪で開催される大阪国際女子マラソンに向けて大きな手ごたえをつかんだようです。私の方は、同じ30kmのレースを2時間18分(昨年より9分の遅いタイム)でゴール。特に、ゴール前の3kmは、気持ちとは裏腹に脚が全く動かず、トレーニング不足を反省しました。ゴール後、千葉選手とゴールタイムの差が30分近くもあること、また、高橋尚子選手(積水化学)がフルマラソンの42.195kmを走るタイム(2時間19分)と私の30kmのタイムが変わらないことを知り、つくづくマラソン選手の速さを実感しました。

 今後もロードレースでのランナーの健闘とマラソン選手たちの活躍を期待したいと思います。

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