私が授業を担当させて頂いているある女子大では、一年に二度の体力測定と身体測定を実施しています。身体測定の方は、身長や体重とともに体脂肪率の測定も含まれています。そのため、女子大生は、体力測定に備えてのトレーニングこそしないのですが、数週間前から身体測定に備えて体重調整をはじめるようです。体脂肪測定の時だけ数値が低ければ満足なのか・・・と甚だ疑問なのですが、測定日の朝食だけでも、と調整して測定に臨んでいるようです。


ところで、最近、体重ととともに手軽に体脂肪を測定できる体重計をよく目にします。体重計に銀色の板がはめ込んであるものです。これは、身体に電気を伝導させたときの抵抗(インピーダンス)から身体組成を推定するものです。そして、除脂肪組織(筋肉や骨など)は電解質を含む水分が多く含まれるために電気抵抗が小さいのに比べて、体脂肪(脂肪組織)の方は電気抵抗が大きくなるという原理に基づいています。つまり、体内の水分量によって電気抵抗が変わるため、測定には注意が必要です。運動や入浴により汗をかく前と後では身体の水分量が違い、汗をかく前の体脂肪率が低く、汗をかいた後は体脂肪率が高くなるからです。測定するたびに数値が違う・・・と言う経験、ありますよね?また、身体組成を電気抵抗から推定しているので、測定時には体重計のほこりや足裏のごみをしっかりと取り除き、さらに電気が流れやすいように姿勢を正しくすることなど、身体の電気抵抗を正確に測るための注意が必要です。

女子大の身体測定の結果、1542人の平均値は、身長と体重から計算する体格指数(BMI=Body Mass Index:体重(kg)/身長(m)2)が、20.6で、正常範囲にありました。また、肥満度は−2.304%にあり、ややヤセ傾向になりました。しかし、体脂肪率の測定の結果、平均は、25.0%で体脂肪がやや多い傾向にあることがわかりました。この状態が進むと見た目は痩せているように見えても体脂肪量が多い、いわゆる隠れ肥満になるということです。半年に1回の測定ですが、改めて体脂肪を減少させる必要性を実感し、また、体力の衰えに愕然とする姿もありました。
体脂肪量が多い場合、健康の維持や体力の向上のためにはその減量が必要です。これには、運動などによる筋肉への刺激が必要で、食事面からは、まず、エネルギーの消費と摂取のバランスをとることが大切だと言われています。しかし、「消費が少ないから摂取も少なくていい、活動量が少ないから食べる量を減らしている」など、これでバランスが取れていると思っては大間違いなのです。どのレベルで、バランスを取るかを考えなくてはなりません。しっかりと身体を動かし、必要な分は食事から摂って、高いレベルでバランスを取ることが大切なのです。

次に、「タンパク質を確保すること」と「エネルギー源の脂肪を控えること」がポイントになります。タンパク質は、主菜(おかず)として摂る肉や魚、卵、豆・豆製品、牛乳・乳製品などに多く含まれ、特に肉や魚類などの動物性のタンパク質に多く含まれるアミノ酸は、筋肉や骨、血液等の身体の構成を担っています。また、タンパク質は、ホルモンや酵素、免疫機能、神経の伝達にも関わっているので、不足すると心身への大きな支障をきたします。筋肉に力がない、骨がもろい、貧血症、風邪を引きやすい、頭が働かない…などの症状は、タンパク質不足が原因かもしれません。したがって、肉や魚、特に身体をつくる赤身のものを選び、素材を生かした調理をすれば、余計なカロリーをとらずに済みます。
また、1g当たりのエネルギー量の多い「脂肪を控えること」で効率よくエネルギーの摂取を減らすことができるので、キッチンペーパーなどで余分な油を取除くようにします。私は、サポートする選手やダイエットしたい人の献立から脂肪分を控えたい時には「揚げ物もどき」と称して、油を含ませたパン粉を素材にまぶして焼くことにしています。こうすれば、かなりの脂肪分を減量することができます。
まず、現状を把握して、その上で対策を講じること。良かれと思って実行していることが実はマイナスかもしれないのですから。

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