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この夏、日本人宇宙飛行士・野口聡一さんがスペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗。3回に及ぶ船外活動は、大きな注目を集めた。
そのとき話題になったのが「宇宙ラーメン」無重力でも飛び散らないようスープにトロみがつけられ、宇宙船内では沸点が低くなるため低温のお湯でも戻る麺が、野口さんのリクエストで開発された。
味付けはかなり辛め。無重力だと血液が身体全体に広がり、顔がむくんだり、鼻が詰まった感じがして、味覚が鈍るからだそうだ。
宇宙飛行士たちは、地上とは異なるさまざまな状況に対応できるよう、多くの訓練を繰り返している。が、厳しい訓練もせず、地球にいながら、無重力に似た経験を味わえるスポーツがあるのだ。
それは、ドイツ生まれの「ラート」(Rhonrad)。
大きな鉄の輪のなかに入って、グルグルと自由自在に宙返り。まるで、宇宙遊泳をしているような感覚を楽しめる。
7年前、やはり「ディスカバリー」に乗り、宇宙飛行した向井千秋さんは、こんな句を詠んだ。「宙返り 何度もできる 無重力」。
「ラート」に挑戦して、あなたも、野口さんや向井さんが感じた世界を体験してみよう。
●概要●
「ラート」とは、ドイツ語で「輪」を意味する言葉。身長より大きな直径の輪を2つ平行に並べた器具を使う。ハムスターが運動する車輪の大型のような形。そのなかで「大の字」になった人が、手足でバランスを取りつつ回転して、美しさを競う。
発祥の地ドイツでは、1960年に最初の全国選手権が開かれ、現在では、200を超えるクラブチームが存在するほど盛んなスポーツになっている。
90年には国際ラート連盟が発足。2年に1度、世界選手権が開催され、今年5月の第6回大会には、欧州中心に12ヶ国から約50人の選手が参加した。
国内では、89年に日本ラート連盟が設立され、筑波大、阪南大、琉球大などの大学運動部が中心になって競技人口が広がりつつある。今年の世界大会では、筑波大学大学院2年の檜皮貴子さんが、女子個人「跳躍」で優勝。世界選手権で日本人が優勝したのは、檜皮さんが2人目だ。国内の競技人口は約200人。毎年11月に全日本選手権が開かれている。また、今年の8月には初の全日本学生選手権も行われた。
●歴史●
1925年、ドイツ人体操家のオットー・ファイク(Otto Feik)が、酒樽の外枠をヒントに「子供の遊び道具」として考案した。
誰でも簡単に回転を楽しめることから、ドイツでは、まず遊具として普及。そして競技へと発展していった。また、第二次世界大戦前には、平衡感覚を鍛えるため、航空機操縦士の訓練にも用いられた。
ドイツと同盟国だった日本にも、この時期に、「ラート」が紹介されている。当時は「フープ(回転器)」と呼ばれ、「飛行機に乗ったときの急激な運動に耐えるための基礎体力づくり」のため、軍の航空学校などに導入されていた。
終戦後、ドイツでは「ラート」の軍事色が払拭され、スポーツとしての普及に力がそそがれた。が、日本では、GHQ(アメリカ占領軍総司令部)が軍事色の一掃を図るなか、軍事的、訓練的色彩が強いとして「ラート」は廃止され、忘れられていった。
日本で、再び「ラート」が陽の目を見たのは89年のこと。東海大講師の長谷川聖修さん(現筑波大助教授)が、留学先のドイツから、ラート器具を持ち帰ったのを機に普及しはじめた。
近年では、それほど筋力を必要とせず、姿勢を保つことで身体の矯正ができることから、「生涯スポーツ」として注目を集めている。また、平衡感覚を育てる点で、視角障害者のリハビリにも利用され、「障害者スポーツ」としても、高く評価されている。
●ルール●
競技名だけでなく、輪形の器具自体を、ラートと呼ぶ。ゴムで覆われた鉄製で、重さは約50kg。直径125〜220cmまで、さまざまなサイズがあり、身長プラス30〜40cmが使用するサイズの目安。
手で握る部分のグリップバー、足を乗せる部分のステップバー、足を大きく広げたときに乗せる部分の開脚バーと、3種のバーがそれぞれ2本ずつあり、合計6本のバーが2輪のリングを平行につないでいる。
ステップバーには、サンダル状のベルトが付いていて、足を固定できる。そのため、バーから手を放しての回転が可能。また、ステップバーから足を抜き、開脚バーを鉄棒のようにして、前回りや逆上がりをしながら、ラートを回転させることもできる。
競技方法は3種類。ラートに乗って、前後に回転しながら、アクロバティックな演技を織り混ぜる「直進」。
乗ったラートを傾け、片側の輪だけを接地させて、斜めになりながら回転する「斜転」。
自分で転がしたラートの上を跳び越えたり、体操の跳馬のように、倒立前転や宙返りをして着地する「跳躍」。以上の3種目がある。
どの種目も、回転の数や速さを競うのではなく、演技の構成や難度が問われる採点競技。10点満点の減点法で、6人の審判が採点する。
個人戦、団体戦のほか、本場ドイツでは、1台のラートに2人が乗る「パートナー」や、2台のラートで2人が演技する「シンクロ」種目も行なわれている。
●競技団体●
日本ラート協会
〒187−0023
東京都小平市上水新町2−27−30
TEL:042−349−2024
公式サイト
http://www.rhoenrad.jp/main_flame.htm
※協会では、インストラクターの派遣や、一般では入手困難なラート器具の販売も行なっています。詳細は、協会にお問い合わせください。
●大会スケジュール●
第11回全日本選手権大会
2005年11月12・13日(土・日)
会場:東海大学開発工学部・体育館(静岡県沼津市西野317)
2005アクティングカップ競技大会
2005年11月23日(祝)
会場:大阪市中央体育館(大阪市港区田中3−1−40)
※体操・バトントワリング・トランポリンの競技大会。「ラート」のエキジビションゲームが、行なわれます。
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