ドラゴンボート -Dragon Boat- 文:湯浅太郎
写真提供:ドラゴンSUISUI
 

 あるスポーツ紙に、次のような記事が載っていた。
「東アジア大会でドラゴンボート! 東アジア競技大会連合(EAGA)は、2005年のマカオ東アジア大会で実施する17競技を決定した。前回01年の大阪大会で実施されたバレーボール、レスリング、柔道、ハンドボールなどが外れ、開催地のマカオが要望したダンススポーツとドラゴンボートが正式種目になった」
 なんだって?! 日本のお家芸のバレーボール、レスリング、柔道らに替えて、ダンススポーツとドラゴンボート? ダンススポーツは、まあ、ダンスという言葉からだいたい想像が出来るけど、ドラゴンボートって何なんだ? ドラゴンボールってアニメは知っているけど…。
 そこで気になって調べてみると、これがなかなか面白い競技であるとわかった。22人もの人間が舟に乗り込み、手漕ぎで競漕(きょうそう)するスポーツだという。世界選手権も、すでに4回も開催されている。しかもドラゴンボートにはスポーツとして成立する以前の長い歴史もあり、ペーロンやハーリーという名前で日本にも根付いている競漕大会との関わりまである。さらに、私達の住む関西でも、じつは盛んに行われているのだ。そんな“ドラゴンボート”とは……?

●概要●

 世界38カ国に約1000万人の愛好家がいて、競技の発祥国とされる中国や、ドイツ、イタリアなどが強豪。現在、世界のドラゴンボート人口は爆発的に増加しており、アジア選手権(02年には第5回アジア選手権が日本の兵庫県相生市で開催された)、ヨーロッパ選手権などの大陸別大会はもちろん、世界選手権大会も開催されている。2005年の東アジア大会で正式種目として採用されることも決定。こういった国際規格のドラゴンボート競漕とは別に、長崎のペーロン、沖縄のハーリーなど、伝統競技・民族スポーツとしての競漕、日本独自のミニドラゴンボート競漕など、日本のみならず世界各地で異なるルールのドラゴンボート競漕が存在している。なかでもアジアは、世界で最も「競漕」の熱心な地域といえる。

●歴史●

 ドラゴンボートは、紀元前250年ころの古代中国で生まれた世界最古の“手こぎ舟の競漕”がルーツになっているとされる。
 紀元前3世紀古代中国の春秋戦国時代、楚の国の詩人であり政治家でもあった屈原(くつげん)という名の人物が、強国である秦の謀略に踊らされた政敵のために、失脚を余儀なくされた。その結果、楚の国は秦に支配され、国の将来を憂う屈原は、長江に入水自殺をした。以来、屈原を慕う農漁民は、彼の命日である旧暦5月5日になると、救出に向かった日々を想い、手こぎ舟競漕をするようになったと言われている。
 その後、中国国内で水辺で亡くなった人の追悼や、雨乞いの神事となって定着すると共に、中国人の海外進出に伴い、東南アジア地域などにも伝わり、競漕はアジアの広い地域で盛んに行われるようになった。
 日本へは、江戸時代の1655年に造船技術と共に長崎に伝来(長崎ではドラゴンボート競漕をペーロンと言い、現在も独自のルールによって伝統行事として受け継がれている。また、沖縄のハーリーも、同じルーツで中国伝来の物とされている)。
 そんな伝統的な競漕をもとにスポーツ競技としての「ドラゴンボート」が誕生し、1976年に香港で、世界初の国際レース「香港国際龍舟祭」が開催された。それを契機に水上スポーツ愛好者に人気が広がり、ドラゴンボート・ブームが起こり、欧州選手権なども開催されるようになった。
 そこで、1991年に国際ドラゴンボート連盟が結成され、世界統一規格のドラゴンボート競漕として行われるようになった。1995年には第1回世界選手権大会が中国で開催され、現在も2年に1度、世界選手権が行われている(2003年の第5回大会は、SARSの影響で2004年に延期された)

●ルール●

 20名の漕ぎ手と、1名の舵取り、それに1名の太鼓手(ドラマー)の合計22名が乗り組み、船を漕ぐ櫂(かい)を艇(てい)に固定しないで、一定距離の速さを競う競技。以上が世界的な基本ルールだが、歴史と伝統のあるアジアの国々では、10人乗り、8人乗りなどの大会も行われている。
 距離は大会により様々で2000メートル、1000メートル、500メートル、300メートル、250メートル等、会場の条件に合わせて行われる。世界選手権やアジア選手権などで使用される世界ドラゴンボート連盟公認の艇は、龍頭と龍尾の飾りもふくめると長さは約15メートル、重量は約340キロになり、選手22名が乗艇すると総重量は約1.7トンにもなる。が、水に浮かぶと滑るように走る。パワーだけでなく、クルー全員のタイミングを合わせることが重要で、まさに10分の1秒のタイムを争う競漕が展開される様は圧倒的な迫力で、見物客の興奮を呼ぶ。

●競技団体●

日本ドラゴンボート協会
〒530−8274 大阪市北区梅田2丁目4−9
TEL(06)6343-3564 FAX(06)6343-4901
公式サイト http://www.jdba-dragonboat.com/

●試合スケジュール●

関西地区

7月31日(土)
吹田龍舟競漕大会
 場所 大阪・吹田市内神崎川会場 吹田橋〜高浜橋200メートルコース
協会公認レース

8月7日(土)
坊勢ペーロンフェスタ
 場所 兵庫県家島町坊勢
ローカル大会(ペーロン船使用)

8月8日(日)
関西国際空港ドラゴンボート大会
 場所 関西国際空港

8月28日(土)
琵琶湖ペーロン大会
 場所 滋賀県大津市・なぎさ公園サンシャインビーチ
ローカル大会(ペーロン船使用)

10月10日(日)
和歌浦ドラゴンボート選手権大会
 場所 和歌山市・和歌山マリーナシティ内特設会場
協会公認レース

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