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岡田彰布といえば、私にとって東京六大学野球の早稲田大学時代からの大スターだった。1年生のときからレギュラーで、「怪物君」といわれた法政のエース、あの江川卓に立ち向かっていくときも頼もしかった。
そしてドラフトで指名されたのは阪神。北陽高校出身の岡田青年にとっては「ウェルカム」の指名だったに違いない。そして1985年の阪神日本一に大いに貢献、引退後は2軍監督として実績を残し、星野仙一氏のあとを継いで阪神の監督に就任した。
「岡田監督」になってからは、非常に寡黙だ。多くのことは語らないが、試合での采配をみると監督として異なる性格が共存しているように見える。
投手起用に関しては極めて常識的。今季は抑えの久保田をケガで欠いているが、ウィリアムズと藤川のいるブルペンに対する信頼度は抜群で、先発が6回までゲームを作ってくれれば勝利への計算が立つ。
反対に攻撃に関しては積極的である。バントはほとんど用いず、どんどんチャンスを広げる作戦をとる。豪快なヒッティングを披露していた現役時代を思い出させる。とにかく、攻めろという感じ。
ただ、昨年の日本シリーズではこうした投打に対するこだわりが裏目に出た気がする。序盤にリードを許すと、「JFK」と呼ばれるブルペン陣を起用する機会を奪われた。
「出す展開でもないやろ」
というのがコメントだったが、短期決戦だけに展開にこだわる必要はなかったかもしれない。
実は去年の日本シリーズで4連敗した後、記者会見のためプレスルームに岡田監督が入ってきたとき、監督のすぐ前にいた私は、監督のボヤきを聞いてしまった。
「3分で終わってもええやろな・・・」
ところが会見は10分以上も続いた。とても会見に応じるような気分ではなかったのだろうが、監督は大人の対応を見せたのである。
今年セリーグのペナントレースは中日と阪神の一騎打ちの様相を呈してきたが、後半戦の直接対決で阪神が3連敗を喫してしまった。このときばかりは阪神を担当する報道陣の方が意気消沈してしまい、岡田監督に声をかけられなくなってしまった。すると、阪神の指揮官はこう報道陣を励ました。
「お前らがそんななって、どうすんねん」
あまりユーモアで切り返すことは多くない監督であるが、この日、重苦しい雰囲気のときに絶妙のコメントを繰り出した。
このときのことを思い出すと、今年の阪神はまだ大丈夫だと思うのである。苦しいときにユーモアを忘れない監督がいるチームは強い。
落合中日と岡田阪神。阪神が不利な状況に追い込まれてはいるが、今年は名勝負の予感がする。
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