オシム監督

 ジェフ千葉の監督を務めるイビチャ・オシム監督はひと言でいえば、非常にユニークな監督だと思う。会見場に顔を出すと、ユーモラスな雰囲気があることはあるのだが、記者との間に緊張感がある。
 なぜなら、オシム監督は記者に時々質問を投げかけるからだ。あなたはどんな視点でサッカーを論じているのか? 記者は自分の力量を測られているようで落ち着かない。しかし、含蓄ある言葉を聞きたいがためにサッカー記者はジェフ千葉の試合に足を運んでいる。
 そして7月中に、オシム監督は、新しい日本代表監督への就任が有力視されている。
 ジェフ千葉のホームページには「オシム語録」というコーナーがあり、オシム監督が2003年に監督に就任してからの数々の言葉を読むことができる。ちょっと引用してみる。

■2003年2月 岡社長との会話で
今のジェフには、今の生活を維持できればいいという『年金選手』が多すぎる。

 辛口だ。しかも就任してすぐの段階で、選手の性質を見抜いている。彼が監督になったチームの選手は妥協は許されない。
 そして次の言葉は、本来はドイツワールドカップ前に、代表監督から聞きたかった言葉だ。

■2003年7月1日発売 サッカーマガジン(7/15号)の取材に応えて
このチームは、確実に強いチームではない。まだチーム自身が、この実力を認めていない。信じていない。だから、とにかく練習するだけなんだ。
いまのサッカーは、とにかく走ることが大切。どんな選手であっても、走れない選手は使えない。
サッカーは、常に進歩していて、もっと観客が来るように、もっとエキサイティングにならなければいけない。とにかく、すべてが速くなっている。
ブラジルが一番と決まっているのだったら、ほかの国はサッカーをやる必要はない。だから、サッカーは面白いんだ。強いと言われていても、彼らが常に勝つわけではない。

 オシム監督は、チームがどうやって勝つのか、明確なビジョンを提示できる監督だ。とにかく走ること。それは日本人の特性でもある。ドイツW杯で完敗を喫してしまった日本代表がオシム監督を本当に迎えられるのなら、日本サッカー界は再生に向けて優秀な人材を獲得したことになるだろう。
 最近、サッカーでは「組織対個人」とう論議が盛んに行われている。組織で戦うことを前面に押し出したトルシエ監督、そして個人の力を尊重したジーコ・ジャパン。W杯の結果を見る限り、成功したのはトルシエの方だ。きっとオシム監督は組織で戦うことを重んじるだろう。Jリーグで多くの選手のプレーを見てきただけに、代表の顔ぶれがガラッと変わる可能性もある。今回、代表入りした巻のように、やる気、そして特徴のある選手はオシム監督の下では確実に成長してきた。監督というよりは先生。そんな感じがする。
 楽しみなのは、日本代表監督としてのオシム氏の言葉だ。おそらく彼の見立ては、日本代表がどんな状態にあるのか、われわれに現実を教えてくれるに違いない。きっと、厳しい現実だと思う。しかしいまはそれを直視しなければならない。
 W杯で世界との力の差をいやというほど見せつけられた日本代表。その傷を直すため、オシム監督はどんな処方箋を書くのだろうか。

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