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「強い馬」がいれば、そこには名ジョッキーと賞賛されるパートナーがいる。
2005年の日本ダービー、ディープインパクトは5戦5勝、無敗のダービー馬となった。鞍上には武豊。何度もGI レースを勝ってきた名手がこの日ばかりは勝利の後の様子が違った。
目が潤んでいた。
「すごいなあ、と思って乗っていました」
名手でさえも感激するほどの乗り味だったのか……。日本競馬史上、無敗で秋の菊花賞を制し、三冠を達成した馬は1984年のシンボリルドルフ一頭しかいない。この秋、武豊とディープインパクトはこの快挙に挑む。スターホースとスタージョッキーの組み合わせは、競馬界にとって久しぶりの大きな話題だ。
滋賀県の栗東にあるトレーニングセンターの朝は早い。取材の記者も遅くとも6時くらいに到着して調教を見る。蛇足だが、売店にあるうどんが冬になると美味である。
素顔の武豊に会うと、その人柄に魅了されずにはいられない。鞍上の時と同じように、とにかく自然体なのだ。取材に訪れた者を緊張させることなく、リラックスした雰囲気を作り出してくれる。こうした能力は教えられて身につけられるものではない。騎手であり、調教師でもある父を持つ家庭に生まれ育ったからこそ、自然と体得したのだろう。
当時の彼は、日本とヨーロッパを行ったり来たりしていた。東京で騎乗した後、夜、成田を出発する飛行機に乗ってパリに向かうという生活をしていた。海外で自分の力を発揮しようとしている時期だった。それでも日本の競馬の魅力を語ってくれた。
「日本で騎乗できるのは、騎手として幸せなことなんです。だってヨーロッパじゃ、あんなにたくさんのお客さんは入らないんですよ。大歓声をいただけるというのは本当にありがたいことなんです。ヨーロッパのジョッキーは日本で乗ると、ビックリしてますからね」
騎手とは人気あっての職業である。ファンからの期待は大きく、プレッシャーもある。しかし武豊にはそんな息苦しさはどこにも感じられなかった。
栗東の朝の澄んだ空気、そして彼のリラックスした表情が忘れられない。短い時間だったが、さすが一流のホースマンの物腰だと感嘆せずにはいられなかった。
近年は日本を中心に騎乗し、数々の記録を更新中だが、ディープインパクトの出現で、馬と共に再び海外に活躍の場を求める可能性もあるのではないか。
武豊には夢を託すことが出来る。彼を同時代に見られること、これはとてつもない贅沢だと思う。
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