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二世選手が花盛りである。アテネ・オリンピックでも、陸上の室伏兄妹や女子レスリングの浜口京子らが注目を集めている。
スポーツ選手の二世の取材は、ほとんど例外なく面白い。そのなかでも最も印象深かったのは、体操の塚原直也である。
塚原のお父さんは「月面宙返り」を開発した塚原光男さん。ミュンヘン、モントリオールの両オリンピックでメダルを量産した。華のある選手だった。そしてお母さんの千恵子さんも体操のオリンピック選手である。オリンピック経験のある両親。まさにサラブレッドである。
ご両親とも話してみると、魅力がある。お父さんは静かに熱く体操を語るのに対して、お母さんはユーモアを交えながら、聞く者を圧倒する迫力を持つ。また訪れて話を聞いてみたい。ふたりにはそんな力があった。
そして息子は……どちらにも似ていない。実際に会ってみると、「寡黙な好青年」といいう言葉がピッタリな選手だった。ただし、「芯」を感じさせる人間。そう感じた。
二世選手が面白いのは、どうやったら自分の「アイデンティティ」を確立できるか、有名選手の子どもとしてではなく、自分がどんな部分で認められるのか、葛藤してきたからだと思う。自分を確立するために、あえて親とは違う種目に進む選手もいれば、塚原のように同じ競技を選択する人もいる。
塚原の「芯」には、尊敬と自信が感じられた。金メダリストである父と同じ種目を選んだ時点で両親への尊敬が感じられるし、その尊敬の念にプラスして、自分にしかできない体操を確立できる自信があったと思う。
1999年の世界選手権では個人総合で銀メダルを獲得し、シドニー・オリンピックでは金メダルへの期待が高まったが、本番では故障に泣き、メダルを獲得することはできなかった。その後、スランプが訪れたが復活、アテネ・オリンピックは二度目のオリンピックになる。
体操の世界大会ではいまだ「ツカハラ」の名前は魅惑的な響きを持つ。父の財産である。アテネではその遺産をしっかりと自分のものにできるかが勝負になるだろう。
私は彼の床運動の演技が好きである。彼が演技すると、他の誰よりもフロアが広く見えるのである。床の全面を効果的に見せる方法を知っているのかもしれない。
「塚原さんの床運動、誰よりも大きく見えますね」
と伝えると、ちょっと照れたようにはにかんだ。
「そんなこと言われたの、初めてです」
演技のときでも淡々としている表情に慣れていただけに、照れたような表情を浮かべた彼がやけに印象に残っている。
アテネではとびっきりの笑顔を見てみたいものだ。
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