第5回
|
文:岡本輝夫 |
健康診断、病気などで病院を訪れますと、一般に尿検査が行なわれます。スクリーニング検査の内容は、尿の酸性度、蛋白、糖、血尿などで、試験紙法で行なわれています。
尿は腎臓でつくられ尿路をとおって排泄されますが、何のため尿はつくられるのでしょうか?体の成分の約半分は水分からなっています。体液量、血液量および、その組成(酸性度、ミネラル)は常に一定に保たれ、また代謝産物や不必要なものが貯留すると細胞、組織の正常な働きは維持できなくなります。腎臓はこの体液、血液の恒常性を保つため、不必要なものは尿として排泄、必要なものは保持する働きをしています。水を飲みすぎれば多尿となり、脱水時には体からの水分喪失を防ぐため、濃縮尿となり、また、アルコールは尿を多く作る作用があるので、飲酒時には多尿となります。糖尿病では血糖が高くなり、その程度におおじて尿糖として排泄され、肝臓病などで黄疸が出ると尿にビリルビンが排泄され褐色尿となります。これらの尿の変化は体の状態に合せて腎臓が充分働いていることを示しています。
一方、腎臓や尿路(腎盂、尿管,膀胱、尿道)に病気(炎症など)があると、蛋白尿、血尿(潜血尿)、白血球尿、細菌尿などがみられると共に特有の症状が現れます。そして、腎炎、ネフローゼ、尿路結石、膀胱炎などの病気の診断が行われ、また、治療の対象となります。しかし、これらの病気があっても障害が高度でなければ、体液の恒常性を保つ働きは保たれています。
|
|