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チャンピオンになるためなら
物事を難しく考えない
タイプなものですから。(笑) |
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文・武田 葉月
text by haduki takeda
update 10/10 |
■新相撲との出会い
競技開始からまだ約3年の「新相撲」について認識している人は、まだそう多くないと思う。
新相撲とは、男性の相撲をベースに女性向きの用具、ルールを用いておこなういわゆる女子相撲のことで ある。97年に大阪市で第1回全国新相撲選手権大会がおこなわれて以来、今年で3回目を数える大会が、去
る1月17日に大阪市中央体育館で開催された。参加者は小学生選手の部も含む57名で、体重別4階級に別 れて熱戦が繰り広げられた。
成人の部の出場選手の最年少は秋田県の中学3年生。他選手も高校生から30代前半までがほとんどの中 で、ひとり異彩を放っているのが、48歳の主婦、斎藤とく子さんである。
今年の大会では無差別級の部に出場した斎藤さんは、決勝で拓殖大学生、築比地理絵さんに破れたものの、 みごと準優勝。第2回大会の3位に続いて、2年連続入賞という快挙を成し遂げた。
斎藤さんの新相撲との出会いは、96年夏にさかのぼる。週刊誌誌上で、日本新相撲連盟が立ち上がるとい う記事を読んだ斎藤さんは、いても立ってもいられなくなり、知人を通して、同連盟の理事を務める日本大
学相撲部監督・田中英寿氏を紹介してもらう。 「選手としてやってみたいという気持ちで田中さんと会ったのですが、『じゃあ、ついでに理事もやってくれ
ませんか?』と言われてしまいまして(笑)。今では選手と連盟理事の二足のわらじを履いているんです」
彼女を新相撲に駆り立てた理由は、大きく分けて2つある。1つは大相撲が潜在的に好きだったこと。2 つ目は、これまで他のスポーツを通じて鍛えてきた肉体をベースに、スポーツとしての相撲に取り組んでみ
たかったからだと言う。
「昔、見せ物としておこなわれていた女相撲だとか、今でも北海道でおこなわれている女性の相撲ってあり ますよね。でも、あれは私にとって相撲とは思えなかったんです。競技としてあくまで純粋に相撲を取って
みたい! この思いが私を新相撲の道に導いたんだと思います」
こうした熱い思いを胸に、新相撲の選手となった彼女は、独自の努力でトレーニングを進めている。
■競技を続ける苦悩
161センチ、78キロという斎藤さんの肉体は、数字よりも格段に大きくたくましく見える。それもその はず、彼女はその生活の中のかなり多くの時間をトレーニングに費やしているのだ。
週3回、ジムでウェイトトレーニング、週2回を新相撲の自主トレーニングに没頭するほか、水曜日と土曜日はアームレスリング(腕相撲)の練習場に顔を出し、男性相手にアームレスリングの練習に精を出す。
もちろんアームレスリング道場では、女性たちも練習をしている。しかし、女性相手ではもはや彼女の練習 にはならない。若い男性たちにも、積極的に腕の使い方を指導するなど、迫力は満点だ。
新相撲の自主トレとアームレスリングのトレーニングを比較する時、一番困ることが、稽古相手がいない ことだという。
「数年前は、日大相撲部の男子学生と一緒にトレーニングしたこともありましたけど、女性は土の土俵に上 がれないでしょう。だから、なかなか実践練習のチャンスがないんです。そんなこともあって、全国大会で
知り合った新相撲の選手たちと稽古したりもしましたけど、今はもっぱらひとりで稽古しています」
自宅近くの公園で、四股、鉄砲をおこない、足、腰を重点的に鍛える。
「でもね、夜だとちょっと気持ち悪い時もあるんですけど、そんなことは気にしていられませんよね」 と、女性としての苦労も十二分に味わっている斎藤さん。それでも、やると決めたら必ずやり通す強い意
志がある限り、彼女は稽古を続けていくのだ。
話は多少脇道にそれてしまうが、筆者も本年度の全国新相撲選手権大会に出場した選手のひとりである。 それがゆえに、稽古相手不足と、周囲の好奇な目、トレーニング場所の選択には、頭を痛めた。同大会に出
場していた新相撲の選手たちも、一様に「相手がいないので、稽古ができない」といった悩みを抱えていた ようだった。だからこそ、斎藤さんの鉄の意志と相撲を続けるのだという意欲には、個人的にも頭が下がる
思いがするのである。 |
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