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【インタビューを終えて――素敵な女性はシンクロ(同調)する】 奥野史子さんは、素敵な女性である。明るくカラカラと笑う顔を見ているだけで、こっちの心も明るくなる。 と同時に、きわめてナチュラルでナイーヴな心の持ち主でもある。だから、シンクロ独特の「笑顔のあり方」に悩み、TVタレントとしての「自分のあり方」に悩んだ。 そして彼女は、決断し、実行する人でもある。シンクロでは「演技としての笑い」を捨てて「睨み」を選び、TVタレントとしての自分を捨てて「シルク・ド・ソレイユ」のアーティストを目指す。 小生もふくめて、周囲の状況に流されてしまう人間の多い社会にあって、自分に正直に、自分の思うがままの道を歩むことは、けっして容易なことではない。が、奥野史子さんは、それを明るく笑いながらやってのける。あるいは、シンクロの演技をしていたときと同じように、水面 下では「死ぬほどたいへん」なのかもしれない。しかし、水面から出たときは、元気いっぱいに笑ってみせる。または、睨んでみせる。 おそらく、それは、彼女の生まれ持った資質でもあるのだろう。が、シンクロナイズド・スイミングというスポーツによって育まれたもの、ともいえるのではないだろうか。 スポーツで勝利を得るためには、妥協は許されない。しかし、(シンクロという)採点競技は、「他人(審判)の目」を意識しないわけにはいかない。妥協なき自己主張と、他人の目による評価。 その本質的に矛盾する両者を、矛盾なく身体のなかで溶け合わせる(シンクロさせる)なかで、はじめて高得点を得ることができる。つまり、社会と無用な軋轢を生むことなく、自分の道を歩むことができる。そうに違いない。 奥野さんは、自分のことを「へそ曲がり」いや「つむじ曲がり」といった。が、曲がっているのは、世の中のほうだ。日本の社会のほうが、曲がっている。だから、素敵なスポーツマンは、次々と海外に脱出する以外ないのだ。 シルク・ド・ソレイユで存分に活躍したあと、私は、奥野さんに、また日本に帰って、テレビに出てほしいと思う。そして、じつは「へそ曲がり」でも「つむじ曲がり」でもないピュアな「スポーツ・マインド」の持ち主に、ナチュラルな笑顔と素直な意見を披露してほしいと思う。日本の社会全体が、いつかは豊かな「スポーツ・マインド」を持つ社会へと美しく変貌するためには、奥野さんのような人物が、日本で活躍してくれないと……。 |
| (玉木正之・記) |
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