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[vol.20]キンボール特集(前編)

なぎなたで心と体を磨く

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大阪は日本のキンボール発祥地

バスケットボールや、バレーボール、サッカーなどのボールゲームは、得意不得意により、実力の差が出てしまう世界でもある。同じコートの中にいても、積極的にボールに触ってゲームに加わる選手もいれば、一人だけ取り残されたように、隅っこでボールの行方を眺めるだけの選手もいる。ちなみに、筆者は運動音痴のため後者の方だった。球技の時間はゲームの流れについていけず、疎外感を感じながら、ゲーム終了の笛が鳴るのを今か今かと待ちあぐねていたことを覚えている。

そんなボールゲームの世界に、「チーム全員の試合参加がルール」という、画期的なスポーツが1986年のカナダで誕生した。それが「キンボール」である。当時体育教師だったマリオ・ドゥマース氏が、一部の人間が楽しむのではなく、誰もが参加できるボールゲームをという目的でルールを考案。現在世界各地で普及活動を行っているが、歴史が新しいゆえに、初めてその名を聞く読者の方も多いことだろう。

しかしながら、日本ももちろんのこと、カナダ、ベルギー、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカなど世界で500万人ものプレイヤーが存在すること、2001年からワールドカップが開催されていること、2011年の第6回キンボールワールドカップでは、日本の兵庫県宝塚市での開催が決定していることなどをみると、注目のスポーツであることは間違いない。
さらに注目したいのは、日本に初めてキンボールが入って来たのが、他ならぬ大阪の地であるという点だ。1997年10月、ドゥマース氏が大阪の地でキンボールを披露したことに始まり、翌年には国際キンボール連盟日本事務局(※1999年より日本キンボール連盟)が発足。全国各地で講習会が開かれるうち、キンボールの魅力に取りつかれたプレイヤーが着々と増えてきた。

大会も日本一を決める「ジャパンオープン」を頂点に、各地で開かれ、東京23区に至っては、区内でキンボール大会が開かれるほどだという。普及の勢いは関東が優勢だが、なんであれ、大阪は日本キンボール発祥の地。大阪からキンボールを盛り上げるべく、まずはキンボールの魅力を探ってみよう。

巨大ボールに3チーム対抗?キンボールのユニークなルール

キンボールのルールは前述した通り、「全員参加」がルールづけられている。1.22メートル、重さ1キログラムという巨大なボールを使用し、ピンク、ブラック、グレーと色分けした3チーム対抗で、1チームにつき4人のプレイヤーで試合が行われる。試合開始時は、各チームのキャプテンがジャンケンでヒット権を決め、ヒット権を得たチームは、4人のプレイヤーの中で3人がボールを支え、残りの1人がヒット役として、敵の2チームのうち1チームにめがけてボールを打ち込む。この打ち込む時に、チーム内の誰か一人が「オムニキン、ブラック」「オムニキン、ピンク」「オムニキン、グレー」と言う風に、「オムニキン」という言葉とともに、めがけて打つ敵チームの名前をコールしないといけない。

コールされたチームは、ボールが床に落ちる前にレシーブをし、ヒットを行う。ヒットする時は同様に、チーム内の3人がボールを支え、誰かが「オムニキン」という言葉とともに、めがけて打つ敵チームの名を叫んだ後、一人がヒットを行う。この「ボールに触る」「ボールを打つ」「コールをする」「ボールをレシーブする」という動作を繰り返し、レシーブに失敗すれば、失敗したチーム以外の2チームに得点が1点ずつ入る。1ピリオド7分から10分で行われ、3ピリオドで合計得点の多いチームが勝ちとなるという、非常にユニークな仕組みだ。

競技目的か 遊び目的か どちらも楽しめる魅力

試合のカギを握るのは、ヒット役がいかに相手チームに向けて、レシーブの失敗を誘うようなボールを打つかということだ。ボールにカーブをかけたり、ヒットを打つそぶりをしながら、実はボールを支えている別の人間がヒットを行うというようなフェイントをかけたりなど、工夫しながら得点を狙うこともできる。コール役が、試合の流れを見ながら、的確にレシーブをしかける敵チームを見極めるという冷静な判断も必要だ。レベルの高い試合であればあるほど、レシーブの失敗がなくなるので、得点も低くなるという。

とはいえ、キンボールの魅力は、レベルの高い競技性を追求する人、みんなで楽しみたい人など様々な目的に応じた遊び方ができることにある。競技性を求めるならば相手の失敗を誘うようにヒット力を高めればよし、純粋に楽しみたいなら、得点を競うのではなく、ヒット、レシーブのキャッチボールを楽しめばよし。実際のところ、日本で開催される大会では、競技向けの「チャンピオン部門」、遊び向けの「フレンドリー部門」に二分化されているケースが多い。ルールも微妙に違い、「フレンドリー部門」では、ヒット役、コール役が一人に偏らないようにローテーションにするという規定が設けられるなど、全員参加型の要素が濃くなっている。全くの素人でも4人さえ揃えばチームが作れ、大会に参加できてしまうようなフランクさが「フレンドリー部門」にはあるのだ。

このように、様々な楽しみ方ができるキンボールだが、実際にプレイするとどのような感じだろうか。次回は、キンボール体験記をお届けしよう。



藤田 あかり(Akari Fujita)
大阪府出身。2001年京都外国語大学英米語学科卒業後、フリーライター。
アスリート、作家、職人、老舗の当主など、人にクローズアップした取材を中心に活動。