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[vol19]なぎなた特集(後編)

大阪市立汎愛高等学校なぎなた部

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全国唯一 武道科のある高校


「時代劇に出てきたなぎなたに憧れて」
「練習を見に行ったらかっこ良くて」
「母親のなぎなたの練習についていったのが最初」


「なぎなた」を始めたきっかけを照れくさそうに語ってくれた彼女達が、なぎなたを構えた瞬間、別人に変わったようだった。背筋がすっと伸び、りりしい顔つきに変わる。相手の顔をまっすぐに見つめ、威勢のいい声が飛び交う。

大阪市立汎愛高等学校は日本で唯一、武道科のある高校だ。専攻実技として、剣道、柔道、弓道、「なぎなた」(女子のみ)がある。

なぎなた専攻科では、試合だけではなく歴史や武道論、審判のやり方なども学び、指導者の育成を行っている。実際に、教員としてなぎなた指導を行う卒業生がいるという。また、卒業生や地域の子ども達が参加するなぎなた道場「汎愛チューリップクラブ」の稽古場も兼ねており、同校が「なぎなた」普及において大きな役割を果たしていることがうかがえる。取材に訪れたこの日も、小学生の子どもたちが部員に混じって練習を行っていた。

クラブ活動のなぎなた部には普通科の生徒を含め、6名の部員が所属している。
8月に行われた「第64回大阪高等学校総合体育大会」では強豪、清教学園の大会8連覇を阻止し、団体戦で11年ぶりに優勝に輝いた。9月に行われた「2009 トキめき新潟国体」では、少年女子試合競技のなかで1年生の林田選手が大阪チームに選ばれ、みごと優勝を勝ち取っている。
現在は、来年2月に開催される近畿大会をめざし、練習に励む日々だ。

個人戦に出場予定の林田選手は、こう意気込む。 「試合で1本が決まった時が一番うれしい。近畿大会は出場するからには、優勝を狙いたい」

できることはわかること わかることはできること

「できることはわかること、わかることはできること」
顧問の今浦先生が指導において大事にしている言葉だ。
「勝つのに魔法はありませんから、まず自分で考えて行動するという力を身につけることです。自分がどうしたいのか、そのためにはどう稽古すればいいのか。
しっかり自分の考えを持っていないと、相手の動きが見えてきません」 「なぎなた」は、相手の行動を読み、相手の隙をついて一本を取る競技だ。したがって、相手の行動を読まなければ、「なぎなた」に勝利はない。それはいかに相手を観察するか、分析するかにかかっている。

相手の癖は何か、得意技は何か。それを自分自身で考え、練習へ、さらには試合へと進んでいく。クラブには部員一人一人に部活ノートがあり、開いてみると、試合の反省や、戦術について綴られている。ノートにまとめることによって、自分自身を冷静に分析し、次の課題を見つけるためだ。相手を分析する力、自分を客観的にみる力。それは社会生活においても重要だと今浦先生は話す。
 「人の顔色をうかがうというのは良くないことと思われがちですが、私は大切な要素だと思っています。人がどういう感情で動いているのか、わからなければ失言をすることになるでしょうし、空気の読めない人間と思われるだけでしょう。相手の顔をぱっとみて どう自分が動くか、返すかを考える。分析力を養う上で「なぎなた」は良い訓練になると思います」

学んだことを子ども達に伝えたい

普及面ではまだまだ課題が残る「なぎなた」だが、明るいニュースも飛び込んでいる。中学校で、剣道、柔道、相撲といった武道の必修化が決まり、そのなかの選択肢として「なぎなた」も含まれることになったのだ。どの種目を採用するかは各学校の任意だという。平成24年度の必修化完全実施に向けて、「なぎなた」がどの程度採用されるかが、注目される。

「クラブに入る前は、敬語も挨拶もおどおどしてぎこちなかったですが、稽古を続けていくうちに、自然と身につけることができました。人を尊重すること、社会で生きていく上でどう人と接していくかということも学びました。将来は、自分が学んできたことを子ども達に教えたい」と、3年生の平尾選手は話す。彼女の他にも、「将来は指導者になりたい」「なぎなたはずっと続けていたい」という、頼もしい声が多く聞かれた。彼女達の活躍で、「なぎなた」普及の道がさらに広がることだろう。

取材日:12月18日(木)
場所:大阪市立汎愛高等学校


藤田 あかり(Akari Fujita)
大阪府出身。2001年京都外国語大学英米語学科卒業後、フリーライター。
アスリート、作家、職人、老舗の当主など、人にクローズアップした取材を中心に活動。