今月のクローズアップ
photo 大阪剣友会
種目:剣術・居合道
活動場所:東住吉スポーツセンター
データ


◆刀好きの集まり
 「兵法二天一流剣術」。
 江戸時代の剣豪、宮本武蔵が開祖した剣術の流派だ。
 平成8年に結成された「大阪剣友会」は、その武蔵の剣術と「無外流居合兵道」が流派の居合道を極める。
「簡単に言えば、私らは刀好きの集まり。コレクターは集めるのが趣味だけど、私らは大好きな刀を自由自在に扱いたいんですわ」
 代表の井上高夫さんは話す。
 剣術道場の閉鎖がきっかけとなり、道場に所属していた仲間たちが集まって始まった「大阪剣友会」。名前に「友」がつくのは、井上さんのそんな気持ちがこめられているのかもしれない。
「剣術というと堅苦しく思われがちですが、うちとこは“気軽に、楽しく”が中心。好きでやっているので、段位にはこだわらないし、もちろん、精神鍛錬を目的としているわけでもない。いかに刀をスムーズに操れるかが面白いんですよ」

◆剣術は闘うにあらず 形(かた)を極めるものなり
 宮本武蔵といえば、「巌流島」や「一条下り松」などの勇壮な戦いのシーンが浮かばれるが、剣術は実際に闘うものではないのだそう。
 「剣術は、剣の振り方、交わし方、受け方などの“形(かた)”を学ぶものなんです。相手に当てて一本をとる剣道とは違って、形の美しさを表現する“演武”なんです。」(井上さん)
 剣術での演武は「仕太刀(しだち)」と「打太刀(うちだち)」の二人で行われる。攻撃を仕掛ける「仕太刀」の刀を、「打太刀」がいかに美しく、交わすかがポイントだ。
 「兵法二天一流剣術」では、武蔵おなじみの2本の刀を使用する「二刀勢法」と、一本のみの「一刀勢法」に分かれる。二刀勢法には5通りの形、一刀勢法は12通りの形があり、それぞれ1から順にスムーズに行えるかを練習するという。
 「防具は一切無し。でも、使用する木刀は下手をすれば骨が砕けてしまうほどの威力があるので、緊張感がありますよ」(井上さん)

◆見えない敵と闘う居合道
 「無外流居合兵道」の居合道もまた、形(カタ)が中心の演武だ。
 「抜刀術(ばっとうじゅつ)」とも呼ばれ、刀を抜いた瞬間に、逆袈裟(※さかげさ・・わきの下から肩へ、下から上へと斬り上げること)し、さっと刀を納めるまでの動作の美しさを鍛錬する。主に模擬刀が使用されるが、時には真剣を使うこともあるという。
 「真剣を使うかどうかは、自分で決めることですね。自分が使ってもいいと思えば、使えばいい。全ては自分の責任において行われるんです」(井上さん)
 難しいのは、一人での演武という点だ。相手がいない代わりに、「仮想敵」とよばれる敵を自分で想像し、あたかも目の前にいるかのごとく、敵を斬らなければならない。仮想敵をリアルに表現できるかが、演武の見どころでもある。
 「仮想敵は自分と同じ背格好の人物を想像します。そして、敵の動きをまず見て、刀を抜くか抜くまいかを考えるんです。相手との距離感を図り、今だという瞬間に斬りかかるんです」(メンバーの井本さん)

◆剣術で心を丸く!?
 大阪剣友会では、現在メンバーを募集中だ。18歳以上の男女なら誰でも入会でき、もちろん初心者も大歓迎。まずは刀の持ち方・素振りの仕方から教えてくれる。
「昔は素振り3年なんていいましたけど。今は、大体3ヶ月で振れるようになりますよ」(井上さん)
 メンバーの年齢は20代から60代までと幅広い。練習以外の飲み会や、お花見などの行事もあり、年齢を超えて盛り上がるのだそう。
「古武道をやっていると姿勢は良くなるし、何より人間が丸くなります」
井本さんは言う。
 「結局は、どんな状況にも対応できる心を養うのではないかな?」
井上さんは話す。
 かつての荒武者、宮本武蔵。
 晩年、武蔵が「身をあさく思、世をふかく思ふ」など自らを戒める『独行道』を書いたような境地を達成できるか?大阪剣友会の鍛錬は続く。

(文:藤田あかり)


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